• "高齢化社会"(/)
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  1. 千代田区議会 1987-06-17
    昭和62年第2回定例会(第1日) 本文 開催日: 1987-06-17


    取得元: 千代田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-02
    千代田区議会議事録 トップページ 詳細検索 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 昭和62年第2回定例会(第1日) 本文 1987-06-17 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者の表示切り替え 全 34 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 2 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 3 : ◯区長(加藤清政君) 選択 4 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 5 : ◯十五番(菅沢林君) 選択 6 : ◯区長(加藤清政君) 選択 7 : ◯企画部長(井澤一弘君) 選択 8 : ◯区民部長(加藤忠君) 選択 9 : ◯都市整備部長(望月章司君) 選択 10 : ◯教育長(古賀周作君) 選択 11 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 12 : ◯三十五番(野口つた子君) 選択 13 : ◯区長(加藤清政君) 選択 14 : ◯福祉部長(斎藤喬君) 選択 15 : ◯三十五番(野口つた子君) 選択 16 : ◯区長(加藤清政君) 選択 17 : ◯福祉部長(斎藤喬君) 選択 18 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 19 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 20 : ◯九番(川島ひろゆき君) 選択 21 : ◯区長(加藤清政君) 選択 22 : ◯福祉部長(斎藤喬君) 選択 23 : ◯都市整備部参事(玉井勇美君) 選択 24 : ◯教育長(古賀周作君) 選択 25 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 26 : ◯十八番(中村つねお君) 選択 27 : ◯区長(加藤清政君) 選択 28 : ◯区民部長(加藤忠君) 選択 29 : ◯都市整備部長(望月章司君) 選択 30 : ◯十八番(中村つねお君) 選択 31 : ◯区民部長(加藤忠君) 選択 32 : ◯都市整備部長(望月章司君) 選択 33 : ◯議長(吉成五郎君) 選択 34 : ◯議長(吉成五郎君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 1987-6-17:昭和62年 第2回定例会(第1日目) 本文 776号    午後一時二分開会 ◯議長(吉成五郎君) ただいまから昭和六十二年第二回東京都千代田区議会定例会を開会いたします。  これより本日の会議を開きます。  会議録署名員を定めます。会議規則第百十七条の規定に基づきまして、議長より御指名申し上げます。      三  番  大宮 正義君      四  番  城井 健介君 にお願いいたします。  会期についてお諮りいたします。今次定例会の会期は本十七日より六月二十六日までの十日間といたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 2: ◯議長(吉成五郎君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際、加藤区長より議会招集のあいさつを求めます。    〔区長加藤清政君登壇〕 3: ◯区長(加藤清政君) 昭和六十二年第二回区議会定例会の開会に当たり一言ごあいさつを申し上げます。  今日の我が国をめぐる経済情勢は、国際的な景気の停滞と長引く円高不況の中で、製造業を中心に雇用情勢が依然として悪化の傾向にあり、貿易不均衡を起因とする対外経済摩擦など緊急に適切な対策を迫られている状況化にあります。  このため国においては内外から強く要請されている内需拡大にこたえるため公共投資の拡充や住宅建設の促進などを柱とする総額六兆円に上る緊急経済対策を策定したところであります。  一昨年九月から始まった急速な円高に対応するため、国は過去三回にわたって総合経済対策を策定してきましたが、これらに比べて今回の対策は積極的な財政支出を伴う内容になっており、今後の財政運営が大いに注目されるところであります。  さて、区政を取り巻く諸情勢は依然として厳しいものがありますが、私は区民のための区政を常に念頭に置き、区民福祉の向上と明るく住みよいまちの実現を目指し、従来にも増して全力を傾注しているところであります。今後とも多様化する行政需要に的確に対応するため安定かつ効率的な行財政運営に努めるとともに、改定基本計画の施設の具体化に向けて努力してまいる所存であります。  また、区政の最重要課題である人口対策・まちづくりをめぐる情勢は、業務地化の進行、地価の高騰などこれまた厳しい状況が続いております。  こうした情勢のもとで千代田区再生のため、昨年来より住民・企業・行政がともに一体となり、精力的かつ活発な論議を重ねているところであり、先般その意見の集約として「街づくり方針の中間のまとめ」を公表いたしました。
     今後は区民各層から一層の御意見をいただきながら街づくり懇談会の意見や街づくり協議会での論議を踏まえ、さらには区議会での御審議を賜り、今秋には区民の総意としての「街づくり方針」を策定してまいる所存であります。  一方、まちづくりなど区政全般にわたって深刻な影響を与えている地価高騰問題に対し区長会としても緊急を要する課題として受けとめ、国に対し地価抑制のための総合的な施策を積極的に推進されることを求めた要望を先般行ったところであります。  また、人の住むまち住めるまちを実現していく上で、安全で快適な居住環境の整備と良質な住宅の確保が区政の課題となっております。東京都において計画された都営飯田町アパート建てかえに当たり、当区としても周辺環境の改善を含め、より住戸数の増加を図る方向で都に要請するとともに、一体となって取り組んできたところであります。その結果、国及び都の理解を得て現在、大規模高層住宅の建設計画が進められております。このことは本区の人口・まちづくり施策の推進に合致するものと考えております。  さて、佐久間小学校改築を契機として計画され、現在工事中の神田東部地区総合公共施設が近々竣工の運びとなりました。この間の区議会を初め近隣住民など関係各位の深い御理解と御支援に対し厚くお礼申し上げます。幼児から高齢者までの各層が多目的に利用でき、地域文化や自治活動の核となる施設として九月開設を目途に現在その準備を進めております。  本区の地域特性を勘案した新たな発想に基づき設立された施設の基本理念を十分踏まえ、効率的かつ弾力的な管理運営に努め、区民サービスの一層の向上を図ってまいる所存であります。  また、区民が自然に親しみながら、スポーツ活動や休養ができる施設を群馬県嬬恋村に建設するいわゆる自然休養村計画が具体化され、六十三年度のスキーシーズンに合わせ開設することを目途に去る四月工事に着手いたしました。軽井沢区民高原施設に次ぐ新たな区民施設として、村との交流を含め、その機能が十分生かされるよう引き続き適切な管理運営体制などの検討を行ってまいりたいと存じます。  さて、今回提案いたしました諸議案の概要について御説明申し上げます。  まず、昭和六十二年度東京都千代田区一般会計補正予算第一号についてでありますが、厳しい財政状況を勘案し、緊急かつ必要なものに絞り事業経費を計上したものであります。  その主な内容といたしましては、本年九月開設を予定しております神田東部地区総合公共施設関連経費であります。本施設は区民施設としてのちよだパークサイドプラザ、いずみ保育園、佐久間小学校、同幼稚園、教育研究所を包含する複合施設であり、これらの施設の有機的、一体的な運営と多目的な施設利用により地域振興の拠点となることを期待しております。今回この施設の開設に当たって管理運営等に要する経費を計上いたしました。  その他、箱根千代田荘の調理委託経費について予算の不足が見込まれるため計上したものであります。  これらの財源につきまては、特定財源と特別区税に求めております。  この結果、今回の補正額は、歳入歳出とも一億六千七百八十六万円であり、昭和六十二年度一般会計予算総額は二百五十三億八千百六十九万四千円となります。  次に、各条例関係について御説明申し上げます。神田東部地区総合公共施設の開設に備え、関連条例を整備するものといたしまして、まず神田東部住民施設ちよだパークサイドプラザの設置及び管理について必要な事項を定めるためちよだパークサイドプラザ条例の制定であります。本施設はコミュニティーの形成と発展、教育と文化の創造及び児童の健全な育成を図るため設置するものであります。  次に、乳児保育の充実を図るため、東京都千代田区立いずみ保育園を設置することに伴う東京都千代田区立保育所条例の一部を改正する条例であります。本保育園は本区で初の零歳児から二歳児までの保育を行うものであります。  次に、区立佐久間小学校のちよだパークサイドプラザとの複合施設化に伴い施設の目的外使用について定めるとともに、その他の区立学校施設の使用について、規定の整備を図るための東京都千代田区立学校施設使用条例であります。  次に、教育研究所の移転に伴う東京都千代田区立教育研究所条例の一部を改正する条例であります。  その他の条例といたしましては、非常勤消防団員に係る損害補償の基準を定める政令の一部改正に伴い補償基礎額の引き上げを行うほか休業補償を行わない場合について定めるため、災害に際し応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の一部を改正する条例、地方鉄道法の廃止等に伴い関係規定を整備するため、東京都千代田区道路占用料等徴収条例の一部を改正する条例、社会経済事情の変化に伴い、生業資金の貸付利率を引き下げるため、東京都千代田区生業資金貸付条例の一部を改正する条例及び保険料減額の所得基準額を引き上げるとともに、規定を整備するため、東京都千代田区国民健康保険条例の一部を改正する条例であります。  その他、報告案件といたしまして、昭和六十一年度東京都千代田区一般会計予算の繰越明許費に係る歳出予算の繰越しについてであります。  何とぞ諸議案につきましては慎重御審議の上、原案どおり御議決賜りますようお願い申し上げ、昭和六十二年第二回区議会定例会の開会のごあいさつといたします。(拍手) 4: ◯議長(吉成五郎君) これより各会派の代表質問に入ります。  初めに、自由民主党議員団を代表して、十五番菅沢林君。    〔菅沢林君登壇〕 5: ◯十五番(菅沢林君) 昭和六十二年第二回定例会に当たり私は自由民主党議員団を代表して区長並びに関係理事者に対し山積せる区政の重要課題について、特に今回の定例会は改選後初めての議会であり、新たに区民の信託を受けた議員に取って本格的に論議する場として次の改選までの四年間に果たさなければならない重要な議会であります。ただいま区長の招集あいさつ並びにさきの臨時会における議長あいさつにも述べられましたように、国政・都政の動向は言うに及ばず、日本経済、国際経済の影響が他の自治体には見られない速さで直接的にこの千代田にあらわれ、区議会における諸活動も当然ながら総合的に幅広い観点に立って適切な行動と識見が要求され政策論議の場として、区議会は活動を展開することその責務であると思います。  そこで、「人口対策街づくり」を当区の重要施策として区を挙げて取り組んでおりますが、私は九月を目途として進められている「街づくり方針」の策定に関する取り組み姿勢並びに今議会の中心議案である神田東部総合公共施設の二点についてお尋ねをし、見解を求めるものであります。  さて、千代田のまちづくりを取り巻く諸情勢は一段と厳しさを増し、その対応のいかんと、また、万一にもかじ取りを誤るようなことがあれば、千代田区存亡にかかわるゆゆしき事態ともなりかねない重大な時にあり、千代田区の現状を冷静にかつ客観的に見詰め、分析する必要があると思います。  まず、住民基本台帳人口を見ると、昭和六十一年一月一日現在、五万四千百六十四人、前年同期より千八百二十四人の減少、率では三・三%の減であり、その前年の減少率はマイナス二・三%、さらにその前年の減少率はマイナス一・一%であり、ここ数年人口減少に拍車がかかっていることは明白であります。  区は、五十三年「活気と安らぎのある調和のとれたまち」を基本目標とした基本構想を策定し、施策の事業化を含めた長期的、総合的計画が推進されてきましたが、「人口対策・街づくり」を最重要課題として取り組んできました。しかし、残念ながら人口減少に歯どめがかからず、基本構想策定時は六万五千六百三人、昭和五十七年には六万人を切り、昭和六十一年には五万五千人を割っており、今後とも、さらに減少が続き、加速することが予測されます。  区の努力にもかかわらず減少が続く要因は、都心への業務機能の集中による事務所需要や地価高騰などさまざまな要素がふくそうし、一概にこれが原因であると断定できるものはありませんが、このままでの区の対応や姿勢では基本構想の人口指標である八万人人口は文字どおり絵にかいたもちであるどころか、現在の五万人人口の維持さえも極めて困難であることが予想されます。  巷間、五万人を切るのは時間の問題でありそのときの千代田区は一体どうなるのかとささやく区民は多数おり、このような状況が進行すれば、基礎的自治体としてのイメージは大幅にダウンするばかりでなく、さまざまな行財政上の制約が予想されます。  世界の大都市東京、その東京の中心地としての千代田区は、単に東京の都心という位置づけのみではなく、国際都市としての千代田、すなわち日本の「国心」とも言うべき位置にあると言えます。この千代田区が、昼は百万人口を擁し、活力とにぎわいはあっても、夜はゴーストタウンと化してしまえば、真の「国心」とは言えず、こうした意味からも現在の五万人人口は最大最善の努力を払って確保すべき強い決意と実行力が今ほど区政に求められているときはないと言えるのではないでしょうか。  六十一年十二月、都区制度改革の都区合意の中には、二十三区の規模適正化の具体化、すなわち廃置分合の方向性が示され、このままの状態が推移するとすれば、廃置分合という銃口が千代田区に突きつけられ、まさに引き金に指がかけられると言っても過言ではありますまい。  先日、報じられた都議会の定数についても、千代田区は極めて厳しい状況になるのではないかとの区民の声には胃の痛みさえ覚えるのであります。  本区の抱える人口問題に対して改めて考え、これまでの経過と現状について再認識するとともに、基礎的自治体のメルクマールとして市の要件である五万人人口を当区は何としてでも死守する方向性を明確に位置づけることが必要と思うが、当区の現実の課題としての目標人口について、どういう見解をお持ちなのか、明らかにしてほしいのであります。  また、将来動向を十二分に踏まえ、現在人口を確認し、これに焦点を当て、五万人人口の土俵でがっちりと取り組むべく再検討の時期にきていると言えるのではないでしょうか。特に現在策定中の街づくり方針の中に、これをどう位置づくるかは重要な問題であります。  昭和五十三年に議決された基本構想そのものの見直しの是非は、昭和六十年七月に基本計画が改定されて間もないことでもあり、現時点で判断されるのは困難かと思われますが昭和六十年代半ばという目標年次も間近であり、この人口問題を中心に置きながら二十一世紀を展望した見通しに向けての調査を早急に取り組むべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか、その見解をお聞かせいただきたいのであります。  次に、こうした人口問題を背景とした区民を取り巻く地域生活環境の変化についてお尋ねをいたします。  人口減少は日々生活し活動する区民の生活環境を破壊し、生活環境の悪化は、また、人口減少に拍車をかけるという、いわば悪循環に陥っているのが千代田区の実態であります。さきの国土庁発表の昭和六十一年度下半期地価動向調査によりますと、東京都心部で前期、六十一年四月から六十一年九月に比べ上昇率の下がった地点がふえるなど地価上昇に鈍化の傾向が見え始めているとしているが、ここ数年来の狂乱とも言える地価上昇は、底地買いの恐怖とか、固定資産税や、そして莫大な相続税に反映し、全く住みにくい状況になっていることは既に御案内のとおりであります。  過年、区長は、みずから自治大臣や国土庁長官に対し、地価対策及び固定資産税問題について善処方を要請し、このたびの国土利用計画法改正などの糸口をつけられました。また、その後の情勢変化と区民の生活実態を踏まえ、先般区長会としても、国に対し、地価抑制のための総合的施策を要望されたことはまことに時宜を得たものと存じます。自民党議員団としても今議会において区民の生活を防衛する観点から、地価の高騰が直接、固定資産税と都市計画税の課税標準に反映しないよう資産評価方法の抜本的改善を求めて、国や都に対し意見書を提出する用意を持っておりますが、区長はこの問題に対して今後、国や都に対しどう行動を起こされるおつもりか、所信を明らかにしていただきたいのであります。  著しい都市化現象は、町会自治や地域活動にも大きな影響を与え、去る五月の三崎、神田両神社の大祭においても、その運営に支障を来した町会があったとか、また、町会自治や環境美化活動等についてもままならぬという話は枚挙にいとまがないほどであります。  本来、まちは地域の自主的、主体的な活動が基盤にあってこそ有効に機能すると言われているが、まちの活動が低下または喪失してしまっては、まちづくりや文化のまちを維持するどころではありません。地域を取り巻くさまざまな変化に応じて町会活動自体も大幅に変質せざるを得ない、この実情は区民が一番よく知っていることではありますが、特に今、千代田にとって重大な課題となっているまちづくり問題に対して、基盤となる町会の位置づけの確立と、基礎的な自治会組織の活動に対する育成と援助の手を差し伸べるべきではないかと思いますが、その見解をぜひお聞かせいただきたいのであります。  さらには、地域環境の変化が与える影響は、区内の長い歴史と伝統にはぐくまれた地域産業や中小企業、また、近隣商店街等に対しさまざまなインパクトを与えております。  区議会においても総合的なまちづくりの視点を踏まえた魅力ある商店街づくり及び商業活動の振興方策に関する事項を調査する、商業都心づくり対策特別委員会を設置し、国際化、情勢化等新しい時代の波に適切に対応し、魅力あるにぎわいと活力ある商業都心として発展させるための諸施策を総合的に検討し、重点的に商業都心づくりと取り組むことになっております。  区は昭和六十四年度を目標に中小企業振興方針を策定しようとされておりますが、このような悠長なことでよいのでしょうか。今日の千代田の実態から見て、早急に区の行政組織を挙げて方針策定体制を具体化すべきではないかと思いますが、いかなるお考えでしょうか、お伺いをするものであります。  次に、国際化への対応についてお尋ねをいたします。  千代田のまちづくりを考えるとき、国際都市としての変化に即した具体的な対応策は不可欠でありましょう。御承知のように千代田区には、外資系企業も多くあり、国際的センスを取り入れ、世界的にも通用する都市づくりが求められています。  一口に国際化への対応と言っても、いろいろな受けとめ方、行政としての切り口等多様と思われますが、単にハード面から外国語があふれるまちにすれば事足りるというものではなく、市民や産業、教育の交流を初め自治体同士の外交を通じての国際親善の推進、また、区内在住の外国人に対する行政サービス等、ソフト面を含めた総合的な取り組みが求められております。  こうしたハード、ソフト両面からの対応には、まず、区長、三役を初め部課長、係長、係員に至るまで区執行機関すべてが国際化への問題意識と日常業務の中に国際感覚を取り入れる努力が必要ではないでしょうか。例えば職員の語学研修の取り入れとか、外国自治体との職員交流や海外研修等々でありますが、隗より始めよという言葉があります。区長、助役が率先して海外に目を向ける具体的行動を起こすべきと思いますが、いかがでしょうか。そして、執行機関が培った国際感覚と知識を議会ともどもまちづくりに積極的に生かしていくべきだと思いますが、具体的なお考えと、その見解を求めるものであります。  次に、まちづくりをめぐる国の動向、都の動向に対する見解をお尋ねしたいと思います。  去る五月二十八日、国土庁は第四次全国総合開発計画、すなわち四全総の最終試案をまとめ、国土審議会に提示いたしました。都市問題にもっと言及せよとの指示をきっかけに、東京重視をするか、地方を重視するかで相当に議論が交わされた結果、これによれば多極分散型国土づくりを基本目標に掲げて地方の基盤整備に比重を置くとともに、東京圏は金融、情報面で世界の中枢都市として国際経済社会の発展に寄与するという国際化時代に地方と東京と双方に配慮した内容になっているとのことであります。  また、東京については、一極集中の是正策として、業務上独立性の強い中央省庁部局の地方移転や、新たに設置する全国的な文化、研究施設は原則として東京外に立地する、また、都心部事務所には便益に応じて新たな税負担を求める措置の検討も求めるとしております。  さらに、地価対策についても新たに一項を設け、土地信託など土地の有効利用や供給増を提言しております。新聞の論評によれば、東京への集中規制策の実現性の疑問視や一千兆円と試算される投資額の官民分配の具体策がないなど多くの意見も出されているが、これがもし推進されるとすれば、都市の活力の充実、都市環境の整備や国際化への対応と居住環境の整備が述べられていることから、都心に位置する千代田区にとっては重大関心事であり、七月にも正式に閣議決定されると聞くが、区長はこの四全総試案に対しどのような見解をお持ちでしょうか、また、現在、策定中の街づくり方針とのかかわりについて、四全総施策と基本的発想が同一と思われる多極多心型都市構造を求める第二次東京都長期計画との整合性を含めてどのような見解をお持ちなのか。  千代田区の位置づけは、一つには、千代田区の都市基盤の積み上げと今後の充実であり、二つ目として、内外企業の都心への集中希望の実態を踏まえ、結局、千代田がその都市機能をさらに充実させ、都心の核となるものと予想されますが、まちづくりの基本理念と大きくかかわる外的条件でありますので、明確にこれらの受けとめ方についての姿勢を明らかにしていただきたいのであります。  次に、東京湾ウォーターフロント計画のきわめつけとも言うべき臨海部副都心開発基本構想を去る六月三日、東京都が発表いたしました。  この構想の基本理念は、二十一世紀に向けて世界に開かれたマイタウン東京実現への新たな展開の方向を示すものとして、多心型都市構造への積極的展開の一つとして、臨海部に第七番目の副都心を未来型の都市として建設するものであります。面積は十三号埋立地を中心に四百四十ヘクタール、そこに国際化や情報化に対応する業務機能と居住機能及び商業、文化、スポーツ、レクリエーションなどのアミューズメント機能を効果的に配置し、そして国際的情報都市として東京テレポート、国際展示場等のコンベンション機能、また、ゆとりある都市として公園、緑地など多様な需要にこたえられる住宅、文化・スポーツ施設、そして変化に対応する都市としてゆとりを持った空間を確保するとしております。  開発フレームとしては、居住人口四万四千人、就業人口は十一万五千人としており、都はこの構想をもって臨海部開発の主導権を持ちつつ昭和六十八年度までを第一段階として取り組むとのことであります。  こうした都のビッグプロジェクトが東京大改造の一環として発表されたわけでありますが、仮にこの構想が具体化していった場合、一体、これまでの都心、特に千代田区はどうなるのでありましょうか。そのことには一切触れてはいないし、四全総中間報告では東京重視の考え方について地方から大きな意見が出たことは記憶に新しいところですがこれだけの東京への機能集中を図る方向については、日本経済の方向性を踏まえるとき、果たして全国的理解が得られるかどうか、いささか疑問視する論評も出ておりますが、国際都市東京が果たすべき役割から勘案して、この動向はやむを得ないと思うが、区長はこの構想についてどう受けとめられ、どう対処されようとされるのか、千代田のこれからのまちづくりの観点から、その見解をお伺いするものであります。  次に、昭和六十三年度を目標に、現在作業が進められている用途地域などの線引き見直しについてであります。  既に土地利用の基本方針は策定され、当区においても十二月の区原案作成に向けて区民への説明会が五月末から六月末にかけて開催され、各会場とも多数の区民、企業の人たちが出席し、その関心の高さが示されているところであります。  また、都は六月五日、用途地域等に関する指定方針及び指定基準を発表したところでありますが、この指定方針、同基準によれば、全体として副都心など開発が見込まれる地域以外では容積率の大きな緩和はしない方向を打ち出しております。  これからの区原案作成に当たってどのように対処されるお考えか、また、街づくり方針とも密接なかかわりがあると思うが、作業的にどのように整合が図られておられるのか、その見解を明らかにされたいのであります。  次に、まちづくりに対する取り組み姿勢の最後として、これからのまちづくりに対する推進基盤の確立についてお尋ねをいたします。  まず、現在進められている街づくり方針の策定体制についてであります。  これまで明らかにされている街づくり方針の策定スケジュールによれば、本年九月に区案が公表されることになっております。現在、街づくり協議会においては各論である地域別方針について論議され、七月には街づくり懇談会との合同会が開かれ、さきに発表された総論部分のまとめとともに、全体議論がなされ、それを踏まえて、区原案策定がなされるとのことであります。担当部署の努力と苦労は十二分に察するところでありますが、街づくり方針策定の大詰めが近づいているときだけに今後のまとめに向けて心配はないものかどうか、街づくり協議会の現況について明らかにしていただきたいのであります。また、方針策定に向けて当初の予定どおり進行できるのかどうか、今後の見通しについてもこの際、改めてお答えをいただきたいのであります。  街づくり懇談会については、大企業等も参加して有効な意見が交換されていると聞いており、その結論に大きな期待を寄せるものからであります。  また、街づくり協議会については当面、街づくり方針が議論の対象となっているが、方針策定後の運営と九月以降の第二期委員の人選問題についても区民の中から関心が高まっているところであります。  方針策定後、この方針に沿って具体的なまちづくりについてだれが、何を、どのように協議するのか、その方向性はいまだ明らかにされておりませんが、そろそろ方針策定の先が見えてきた現状において、今後の街づくり協議会のあり方について明確にしていただきたいのであります。  次に、庁内におけるまちづくり関連施策の推進基盤についてお尋ねをいたします。  街づくり方針策定作業の大詰めを控えた執行機関として、協議会等の意見を勘案してどう整理し、区案作成に対処されていくか、重大な時期にきております。全庁的な取り組み姿勢のいかんが事を左右するものであり、その位置づけにあると言えるのではないでしょうか。  そこで、人口対策街づくり推進連絡会議が中心となってまちづくり関連施策について総合的な調整が図られていると思いますが、街づくり方針と密接なかかわりがあると思われる幾つかの検討組織について、その取り組みの現況と今後の取り組み姿勢についてお尋ねをするものであります。  まず、第一に、教育条件検討会についてであります。昨年三月第一次検討会報告書が出され、これを踏まえ、学識経験者を含めて第二次検討会の議論が進められ、本年夏ごろを目途に最終報告書が提出されるとのことであります。  区立幼小中学校の教育条件は人口減少問題や地域環境の変化に比例してますます悪化しており、二十一世紀を担う子供たちの教育は、親、地域、学校、そして行政が一致協力し、全力を挙げて取り組まねばならないことは自明の理であります。また、社会経済の変化と人口減少は、学校教育にも大きな影響を及ぼし、まちづくりの視点からも英知を集めて早急に解決せねばならないことでありましょう。  ここまで深刻化した千代田の教育問題についての今回の検討会報告書は、今後の方向性を示すものとして我々は大きな関心を寄せているところであります。特に今後とも減少をたどる千代田の子供たちの数は、減ることはあってもふえる見通しのない中で、歴史と伝統に培われ、また、都心の限られた条件の中での特色ある教育を施してきた実績を今後どう生かしていくのか等について重大な関心が寄せられ、神田地区においては小規模校が数多くあり、大規模校にはみられないきめ細かな効果的な教育が行われていることや、千代田の区域外就学を今後ともどう対処していくかなどの問題、さらには佐久間小学校改築において先駆的に行われた地域の核としての複合施設化の方向性など今後の千代田の教育に生かすべき道は多々あると思います。  したがって、行財政上の効率化論とか、単なる児童数による教育論等の次元からではない、千代田の特性を生かし、都心の変容に応じた街づくり方針を基本とした総合的機能を含め、さらに発展につながる方策等思い切った子供たちや地域の位置づけを配慮したすばらしい最終報告を期待するものでありますが、現在までの検討会の到達点と答申以降の報告書の取り扱い方について明らかにしていただきたいのであります。  第二に、教育条件検討会とも連動する公共施設適正配置検討会についてであります。  区の公共施設の状況及び土地の利用実態を調査するとともに、地域の需要及びバランスを把握し、今後の施設のあり方を検討するということで公共施設適正配置検討委員会が昨年十二月に発足し、また今年度中には有識者等による検討懇談会が設置される予定と聞いております。依然として続く夜間人口の減少、業務地化の進行等による区民生活への影響など区民を取り巻く状況等が変化し、必然的に行政側としてもこのことへの対応が迫られていることは明らかであり、区民も新たな方向での行政サービスの拡充を望んでいるところであります。  公共施設は、いわば区民が享受すべき行政サービスの第一義的なものであり、そのあり方いかんが区政への信頼と期待を大きく左右するものであります。したがって、人口が減ったから施設を減らせといった行財政の効率性からの次元からではなく、本来的な自治体としての使命である区民福祉の向上をどう図るか、区民が安心して豊かに楽しく暮らせる等の理念に沿って公共施設のあり方について検討が進められるべきであると考えられ、二十一世紀に向けた国際都市千代田のまちづくりの中で公共施設はどうあるべきか、行政の枠の中にとらわれない弾力的発想も当然取り入れられるべきであり、実施計画に計上されている区民施設サービス公社の設立も急ぎつつ将来展望に即したこれからの千代田の公共施設の方向性を一日も早く出していただきたいのであります。  そこで、庁内の検討組織である検討委員会の検討状況を逐次区民の前に明らかにし、区民意識を反映しつつ検討を進める必要があると思いますが、現在の検討姿勢と検討内容を明らかにしていただき、また街づくり方針にどのように反映させるお考えなのか、ぜひお聞かせいただきたいのであります。  次に、まちづくり推進基盤のかなめとも言うべき都市整備部の組織について簡単にお尋ねをいたします。  多くの区民の期待を担って都市整備部が発足してはや三年目に入っております。この間、多くの重要課題に取り組まれてきたところでありますが、特にこれからの千代田のまちづくりの方向づけを行うべき街づくり方針策定への取り組みは、まさに区民、企業、行政三位一体の取り組みをなされてきたその労に対し謝意を表するものであります。千代田のまちづくりの正念場は、この街づくり方針が策定されてからにあることは衆目の一致するところであり、これからの都市整備部の活躍に大きな期待が寄せられているところであります。  そこで街づくり方針に沿って具体的なまちづくりをどう進めるのかという観点に立つとき、特に目白押しの開発プロジェクトに対し、区としての主体性をもってどう対処するのか、プランニングをきちんと持って対応することが不可欠と思われます。こうした機能を都市整備部の中にもっと強化する必要があると思いますが、これからの都市整備部の執行体制についての見解と、また、まちづくり推進のためのスペースの確保も図るべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いをするものであります。  さらに、まちづくりへの民間活力導入方策として、都市整備に関する第三セクターの設立が計画化され、本年五月には企画部に設立準備室が設置されました。当然、都市整備に関する第三セクターであるから都市整備部の機能と密接なかかわりがあり、十分な連携のもとに準備が進められていることと思いますが、まちづくりを円滑に進めるために都市整備部と一体的な取り組み体制が必要であると思いますが、このことについてのお考えはいかがでしょうか、お尋ねをするものであります。  質問の最後に、完成間近となった神田東部総合公共施設についてお尋ねをいたします。  この施設については佐久間小学校の老朽化による改築計画を契機として発想されたものであります。昭和五十六年地元からの陳情書が提出されて以来足かけ七年にわたる構想が今ここに実現されようとしております。この間における地元、学校関係者及び区当局の御労苦に対し改めて敬意を表するものでありますが、この総合的公共施設建設の基本理念は、本区初めてのものであることはもちろん、全国的にも余り例のないユニークなものであることは御案内のとおりであります。単に建物の複合化というハードウェアだけのものではなく、敷地の有効利用や子供からお年寄りに至るまで地域のすべての人々があらゆる活動、例えば教育、福祉、健康、コミュニティー、余暇、中小企業振興、その他もろもろの活動が一つの施設内で可能であるという新しいソフトウェアが加味されているということであります。  さらに、保育園と幼稚園の年齢区分方式による運営や施設の一体的管理運営などの新しい行政の方向性及び区民サービス向上のあり方に対する発想の転換も含まれていることも特筆すべきことでありましょう。  こうした千代田ならではの新しい発想と将来展望に即したこの佐久間小学校を核とした総合的公共施設が間もなく完成するわけでありますが、本議会において住民センターとしてのちよだパークサイドプラザの設置条例を初め、これも区として初めての零歳から二歳までの乳幼児のためのいずみ保育園の設置条例など関係議案及び管理運営経費を中心とする補正予算案が提案されましたが、ここで改めて九月の開設に向けての基本的考え方についてお尋ねをするものであります。  その第一は、施設全体の管理運営の基本的あり方の問題であります。本施設は保育園、幼稚園、小学校、住民施設などそれぞれの施設目的は異なるものの、地域のセンター的複合施設であることから、それぞれの施設が有機的、効果的、経済的に十分連携が図られたものでなければならないことは言うまでもありません。したがって、極力一体的、かつ総合的な管理運営体制が前提となるものと考えられますが、施設建設の基本理念に沿った管理運営体制がきちんと考えられているのかどうか、この際、確認の意味からお伺いするものであります。  また、こうした新しい施設であることから、これまでとは異なった管理運営方式が求められますが、それには当然学校当局、地域住民等関係者の意見が十分反映されたものでなければなりませんが、これに万遺漏なきや否や、どのように反映されたかお聞かせいただきたいのであります。  次に、ちよだパークサイドプラザについてお尋ねをいたします。  この施設は、さきにも述べたとおり地域の子供からお年寄りまですべての住民が多様な目的に使用するメーン施設になるわけでありますが、運営に当たっては単に場所だけ提供すれば事足りるというものではなく、積極的に利用者の諸活動を援助する事業展開はぜひとも必要であると思われますが、こうした事業サービスについてどのようにお考えなのか、また、使いやすい施設として区民の利用方法の基本はどのように考えておられるのか、使用料金設定のあり方を含めお尋ねをするものであります。  さらに、佐久間小学校のプールが一般に開放されることは非常に喜ばしいことであります。プール開放のあり方はどのように考えておられるのか、学校が使用するとき以外は内神田の総合体育館と同じように考えてよいのか、将来的展望を含めお尋ねをするものであります。  次に、佐久間小学校及び同幼稚園についてであります。  佐久間小学校改築計画に当たっては、二十一世紀を担う子供たちの教育の場として他校には見られないさまざまな工夫が取り入れられ、先生方の期待も大きいことが予想されます。そこで、このように新しい施設設備の活用によるこれからの佐久間小学校の教育方針はどのようになっているのか、また住民施設との相互利用も構想の中でうたわれていたが、この複合施設に対する教育上の配慮の問題を含め新しい工夫の方向性はどうか、あわせてお聞かせいただきたいのであります。  最後に、幼稚園の特別課程とその基本的方向についてお尋ねをいたします。  この特別課程は構想段階から教育、保育、労働など多様な分野から関心を呼び、ある意味では全国的注目を集めているものであります。千代田方式とも言うべき幼児教育の新しい方式が成功するか否かは関係当局の準備姿勢が重要な位置づけにあります。カリキュラムの問題、教員の勤務体制、給食のあり方、使用料や保育園との連携のあり方などなど多種多様な解決すべき課題は山積していると思いますが、検討委員会の答申が三月末に教育長あて提出されたと伺っておりますが、その概要と教育委員会の受けとめ方及び開設に向けての検討スケジュール等についてお尋ねするものであります。  以上長きにわたって、街づくり方針の策定に関する取り組み姿勢について並びに神田東部総合公共施設についてを中心に多岐にわたってお尋ねいたしましたが、いずれも千代田の命運をかける重要課題であります。区長並びに関係理事者の明解なる御答弁をお願いして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔区長加藤清政君登壇〕 6: ◯区長(加藤清政君) 菅沢議員の御質問にお答えいたします。  まず、人口問題についてでありますが、千代田区を取り巻く諸情勢は、大変に厳しく、また他都市には見られない困難な状況にあることは、菅沢議員の御指摘のとおりであります。  都心に位置する千代田区といたしましては、これまで可能な限りの力を振り絞り、「活気と安らぎのある調和のとれたまち」の実現を図るべく努力を続けてきたところであります。昭和六十年七月には、改定基本計画を策定し、新たな決意で人口対策と区民主体による魅力あるまちづくりに向け、邁進しているところであります。  しかしながら、住民基本台帳による人口推移を見ると、六十年当初までは緩やかな減少傾向を示しておりましたが、六十一年以降減少率が上昇傾向を示していることは御指摘のとおりであります。
     しかしながら、私は、千代田区政を預かるものとして、基礎的地方公共団体は、団体自治と住民自治という二つの観念に立脚し、住民の福祉の実現を具現化する大きな責務を有しているものと考えております。  このため、この責務を十二分に果たすためにも、基礎的地方公共団体の存立基盤、すなわち人的要件、場所的要件、法的要件の三要素のどれ一つとして損われるようなことがあってはならないものと考えております。中でも、住民という人的要件は、千代田区の現状から非常に重要であると十分認識しております。  いずれにいたしましても、構想策定時から本年までに一万三千五百四十二人の減少となっていること並びに構想策定時に想定した主要指標と今日の千代田区の現状とを重ね合わせてみると、差異があることは残念ながら御指摘のとおりであります。  このため私は、基礎的地方公共団体の存立基盤が損われることのないよう、全力を傾注し、理解と協力を得て、二十一世紀の千代田区を目指し、先頭に立って努力してまいります。  次に、固定資産税、都市計画税についてのお尋ねでありますが、昭和六十三年度の固定資産の評価替えに当たり、区長会として近年の急激な地価高騰が固定資産税、都市計画税の評価に反映しないよう、国及び都に対して強く要望してまいりたいと思います。  次に、国際化への対応についてお答えいたします。  今日の我が国の国際化はまさに目覚ましいものがあります。情報化の進展とも相まって、首都東京がニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際都市になりつつある中で、その中心である千代田区の果たす役割もますます重要になってきていることは御指摘のとおりであります。  街づくり方針の目標の一つでもある国際的に開かれた情報都心として、国際的な経済社会、情報社会の中枢としての役割を担い、国際的にも水準の高い都市機能と都市環境を整備していくとともに、広く区民が豊かな国際性を身につけ、世界の人々との交流と理解を深めていくことが今後の区政の大きな課題の一つでもあります。  このためには、まず区政を担う職員の一人一人が自覚を持ち、豊かな国際性を身につけなければならないこともまた御指摘のとおりであり、昨年からは海外研修をも行っているところであります。  今後、区政の国際化への対応につきましては、総合的な視点から調査検討してまいる所存ですが、御指摘の方策につきましても、この中で十分に検討してまいりたいと考えております。  次に、四全総についての見解でございますが、東京は世界の中枢的都市の一つとして、さまざまな機能が交流する場の役割が増大するとし、これにふさわしい業務や居住環境を整備することが今回の四全総の政策課題となっております。  この課題を解決するために、東京圏への諸機能の過度な集中を抑制し、良好な居住環境を確保、向上させていくため、一極集中の是正を進めるとともに、多極分散型国土づくりをその基本目標としております。この四全総における考え方は、東京を職と住の均衡した個性豊かな多心型都市構造への転換を進めることとしている東京都長期計画とも基本的に整合するものであります。  区といたしましては、このような国土政策の方向は、基本的には適切なものと理解しており、四全総がこの方向に沿って取りまとめられるよう考えております。  次に、神田東部総合公共施設についての御質問でございますが、御指摘のとおり、神田東部地区総合公共施設の建設につきましては議会を初め関係者の御発意、御協力により、佐久間小学校の改築を契機に保育園や集会施設等の複合施設として新しい観点から建設することといたしました。  すなわち、公共施設の適正配置を考慮し、子供からお年寄りまでが、多目的にかつ主体的に利用し得る施設として総合的、一体的管理運営を行うものであります。  この基本的理念に基づき、本定例会に関係条例等を御提案申し上げておりますので、御了承願います。  なお、詳細及び他の事項につきましては関係理事者をもって答弁いたさせますので御了承願います。    〔企画部長井澤一弘君登壇〕 7: ◯企画部長(井澤一弘君) 菅沢議員の御質問のうち、臨海部副都心開発基本構想と、公共施設適正配置検討委員会についてお答えいたします。  まず、臨海部副都心開発基本構想についての見解についてでございますが、昨年十一月に策定されました第二次東京都長期計画で、臨海部は、都心部への業務機能の過度の集中を抑制し、職と住との均衡した多心型都市づくりの一環をなす副都心として形成していこうと、こういう内容でございます。  最近における業務地化の進展は、国際化、高度情報化の大きな潮流の中にありまして、地価高騰やビル化の進行、生活環境の悪化等々好ましくない影響を与えております。  この臨海部副都心開発基本構想によりますと、先ほど菅沢議員が触れられましたように、具体的には情報化、国際化に対応した高度業務機能だけでなく、居住はもとより、商業、文化、レクリエーションなど諸機能の複合した都市として開発を進めるものとされております。  しかしながら、本構想の中でも示されておりますように、東京は国際都市として我が国を取り巻く大きな潮流の中でその果たすべき役割が大きくなっていくことは容易に考えられます。  このことから、国際都市としての姿を考えた場合に、まず、そこに住む人々がすぐれた国際感覚を持ち、経済、金融、情報のみならず、活動を含めたあらゆる面で国際化の進展に対応できる都市機能を有するとともに、独自の文化を大切にし、歴史と伝統にはぐくまれた個性のある都市であることが肝要かと考えます。  このような観点から考えますと、今後とも千代田区が都心の核を占めるとともに、臨海部に設置される機能をも有機的に取り組みながら、情報の発信地として本区が必然的にますますその重責を担っていくものと考えております。  次に、公共施設適正配置検討委員会についてのお尋ねでございますが、昨年十二月に設置以来、今日まで鋭意審議調査を重ね、社会経済情勢の変化を踏まえた二十一世紀に向けての千代田の公共施設のあり方について検討を行っているところでございます。区民ニーズの多様化に的確に対応すると同時に、行政サービスの向上をも図っていくため、これからの千代田の公共施設の方向性を早急に出していかなければならないことは十分認識しております。  今後とも各部における従来からの検討結果を基本に検討を進め、教育条件検討会の報告、街づくり方針の考え方も十分踏まえ、本年じゅうには検討委員会としての報告を、また、今年度中には検討懇談会の設置を図っていきたいと考えております。  次に、街づくり方針との関連でございますが、公共施設がまちづくりを進める上での基本的な要素の一つであり、また、地域の核でもあることから、その趣旨は施設のあり方を考える際に十分に尊重されるべきものと考えております。  今後ともその趣旨を生かした論議を尽くしてまいりたいと考えております。    〔区民部長加藤忠君登壇〕 8: ◯区民部長(加藤忠君) 菅沢議員の御質問に対し、区長答弁に補足をいたしましてお答え申し上げます。  最初に、まちづくり関連についてでありますが、まず、町会についての御質問にお答えいたします。  千代田区における町会組織は、住民の自主的自治団体として長い歴史と伝統のもとに地域住民の相互親睦と福祉の向上のため活動を続けてきております。  しかし、御指摘のように、最近の都市化現象の進行は、円滑な町会活動にも大きな影響を及ぼしているのが実情であります。地域に住む人と地域で働く人、企業とが一体となって地域活動を行うこと、このことが地域の活性化のためにもぜひ必要であり、その実現を望むものであります。  区といたしましても、町会活動に対して、その本来の姿、すなわち自主住、自律性を尊重しながらその育成、援助に努めてまいりたいと考えておりますので御了承賜りたいと存じます。  次に、中小企業振興方針の策定につきましてお答え申し上げます。  改定基本計画におきましては、中小企業の活性化を促進するため、街づくり方針との整合性を図り、中小企業の振興施策の基本的方針を策定することとなっております。  現在策定中の街づくり方針におきましては、御承知のとおり、目標とする都市像の一つに活気とにぎわいのある商業都心が掲げられ、街づくり協議会及び街づくり懇談会で議論がなされております。中小企業振興方針の策定につきましては、これらの御論議を十分踏まえるとともに、学識経験者や商工業者などで構成いたします商工振興懇談会を設置し、そこで振興条例に対する御意見や振興施策及び新しい時代の波に適切に対応する振興方針策定に向けての御意見をいただき、商工業の発展と活性化を図ってまいりたいと考えております。  御質問にもございましたように、地域環境の変化は地域商工業にさまざまな影響を与えており、これらを十分見据えながら今後鋭意努力をしていく所存でありますので御了承賜りたいと存じます。  次に、神田東部地区総合公共施設についてお答えいたします。  本施設の建設経過につきましては、関係者の十分な御理解と御協力によることは言うまでもありません。施設の工事中は近隣住民の方々にも御協力いただき、感謝しているところであります。  この施設は、小学校を初め幼稚園、保育園、区民施設等の複合施設であります。これらの施設は、相互に有機的かつ効率的に活用するものとして、新しい方向性を目指して建設されたものであります。それだけに、施設の管理運営については十分意を用いることが求められており、学校関係者等の会議を通じて管理運営の具体的な検討を行ってまいりました。  今後とも、利用者懇談会や管理運営委員会を通じて関係者の意見等を酌み取っていく所存であります。  次に、プールの一般開放についての御質問ですが、小学校プールということで、原則的には学校が使用していない時間帯に限って一般開放を実施する予定であります。  本年度については、十月、十一月の二カ月を試行的に実施するものであり、平日は夜間、土曜日は午後、夜間、日曜日は午前、午後の時間帯に開放する予定であります。  また、区民要望や、本年度の利用状況等を勘案しながら今後さらに検討してまいる所存でありますので御了承願います。  次に、プラザにおける事業についての御質問ですが、管理運営の基本方向にも示されているとおり、プラザは単に貸館業務に終始するものではありません。地域におけるコミュニティーの形成の場として場所の提供を行うことはもとより、地域住民が集い、学ぶ施設という面からも、プラザ独自の事業を実施していくべきものと考えております。  しかし、この事業につきましては、各部局で既に実施している事業との重複も極力排していくことが肝要であり、関係部局との調整が必要となります。今後十分検討しながら対処してまいる所存でございます。  それから、施設の利用方法等についてでございますが、本施設は小学校との併設という利点を生かし、学校施設も積極的に、かつ広く住民に開放していく前提に立っています。具体的には、体育館や音楽室、プール等の一般開放であり、これらの貸出事務についてはプラザが窓口として一元的処理を行うものであり、区民の方々の利便を考慮しております。また、プラザの各施設につきましても利用しやすいよう配慮しております。  なお、使用料につきましては、今回御提案しております条例によって一定の額を徴収することになりますが、これは施設を利用することによる応益負担原則に基づくものであり、他の公の施設と同一の理念を基盤とするものでありますので、何とぞ御了承願います。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 9: ◯都市整備部長(望月章司君) 菅沢議員の御質問のうち、都市整備に関する部分について私からお答え申し上げます。  まず、用途地域等の見直しについてでございますが、区案の作成につきましては、明年二月二十九日までに東京都に提出することとなっております。この容積率等の指定見直しにつきましては、都の指定方針及び指定基準におきまして、都市施設の整備、地区特性の変化等が行われた地域については適切な対応を行うことになっております。  したがいまして、区間の状況を十分調査し、本区の都市計画審議会の意見、区議会の御審議をいただき区案を作成してまいりたいと考えております。  また、街づくり方針との整合性につきましては、昨年三月の街づくり方針に関する答申を十分踏まえ、かつ地域別の将来像についても現在街づくり協議会において御論議をいただいており、それらをもとにし、さらに今後の区議会の御意見を加味して成案を得てまいりたいと考えておりますので御了承いただきたいと存じます。  次に、都市整備部の執行体制の強化についてでございます。これにつきましては従来から検討を進めているところでございますが、御指摘にありますように、街づくり方針策定後を考えますと、プランの作成はもとより、その推進体制が大切であり、また、プランづくりに係るソフト面の充実もまた重要であると認識しております。したがいまして、今後庁内全体の課題としてとらえ、その強化につきましてさらに検討してまいりたいと考えております。  また、まちづくりに係る資料室等のスペースの確保につきましては、現在庁内に庁舎使用の効率化推進連絡会を設置し、広く執務室を含めて全庁的に鋭意検討いたしているところでございますので御了承願いたいと存じます。  次に、都市整備部と都市整備に関する第三セクター設立準備室との関係についてでございますが、まちづくりの総合的推進の観点から、御指摘のように一体的取り組みが必要であると認識しておりますので、今後関係部とも十分協議の上検討してまいりたいと存じますので御了承賜りたいと存じます。  次に、街づくり協議会等の現況についてお答え申し上げます。  昨年九月に、二十五名の委員構成による六つの協議会が設置され、総勢百五十名から成る街づくり協議会の活動がスタートいたしました。また、同時期に、街づくり方針に関する答申を取りまとめられました都市計画審議会のメンバーで構成された街づくり懇談会が発足しております。  これまでの協議会の活動状況について申し上げますと、合同会を含め合計十クール、延べ六十回の協議を行ってまいりました。また、懇談会も合計八回の会議を持ち、合同会への出席も行っておるところでございます。この間、協議会、懇談会の精力的な論議の中でいわゆる総論部分の検討が終了し、街づくり方針の中間のまとめが取りまとめられ、既に公表されているところでございます。  また、当初十九名でスタートした懇談会もその後、まちづくり関連企業の参画を得て、さらに充実を図っております。特に六月に行われました会におきましては、企業側委員からの意見発表を中心に論議が展開されました。この会議で最終的には自治体としての千代田区の立場を十分理解し、まちづくりに向けて共通認識に立った論議をしていくことが確認されております。  方針策定に向けての街づくり協議会の到達点について申し上げますと、総論部分についての取りまとめを終了し、さらに各論部分である地域別街づくり方針についての論議を終え、現在各協議会における各論部分の意見の取りまとめを急いでいるところでございます。  今後、この各協議会における意見と懇談会における論議をべースにしながら、庁内におけるまちづくりの横断的組織でございます人口対策、街づくり推進連絡会議等での検討を経ながら区案を作成し、さらにこれを区議会での御審議に付した上でスケジュールどおり方針を決定してまいりたいと考えております。  次に、本年九月に改選となる街づくり協議会委員の人選についてお答え申し上げます。  この協議会は、地域における住民、企業、行政の三位一体性を確保し、地域からの発想を大切にしたまちづくりを進める母体にしていこうというものであり、他に例もない本区としても極めて新しい発想に基づいて設置された合議体でございます。当初、経済団体や町会などの住民組織、そして、民生委員や一般公募の方などそれぞれの地域においてできるだけ幅広い層から選出することに努めてまいりました。その結果、出席率も極めて高く、また、熱心に積極的な意見が寄せられてまいりました。  この協議会に関しましては、御指摘のように、区民の皆さんの関心が非常に高く、設置後も参加希望の声が多数聞こえる現状でございます。これから九月には任期の一年が終了し、改選となるわけでございますが、まちづくりは人づくりと言われるように、この協議会の役割の一つに、まちづくりに関するオピニオンリーダーを育成するという側面がございます。こうした面で考えますと、できるだけ新たな区民の参画を求めていく必要がございます。しかし、一方では、協議会の継続性を勘案した場合、現在まとまりを見せている現委員の再任も考慮する必要が出てまいります。また、まちづくりそのものが極めて息の長い事業であることを考えた場合、青年層の参画が必要であり、同時に、女性委員の比率についても配慮していく必要もございます。  いずれにいたしましても、この街づくり協議会の委員は、地域の総意づくりを担う立場でもございますので、今後の区民各層各界のまちづくり論議の高まりの中で区議会や区民の皆さん方の意向を十分反映させながら、未来につなげる組織づくり、委員選出に努めてまいりたいと存じます。  最後に、方針策定後の街づくり協議会のあり方についてお答え申し上げます。  方針策定後における協議会の取り組みにつきましては、現在、街づくり方針策定に向けて重点的に協議を続けている段階であり、方針策定後の方向性を明らかにしていない状況でございます。また、方針策定後の具体的な取り組みについては、御指摘のようにさまざまな対応が想定されるところでございます。  今後の運営方針といたしましては、原則として街づくり方針の具体的推進を主眼として進めることになります。各協議会が論議すべき事項といたしましては、共通課題と個別課題に大別できようかと存じます。  共通的課題としては、たとえば各協議会の地域内をゾーン化し、街づくり方針に基づく目標に沿ってどのように誘導、具体化していくかを検討することや、共同化など土地利用の方策について現行制度の活用、改善を含めた意見集約を図ることを考えております。  また一方、個別課題といたしましては、特定の街路や街区の整備向上について具体的なプランニングを行うことや、当該協議会にかかわりのある地域再開発に関して意見付与を行うことなどが考えられます。  この協議会は、地域からの発想を重視し、また、自主的、自律的活動が期待された協議会でございますので、テーマの選択についても各協議会の意向を十分認識しながら決定していく必要があるかと存じます。そして、各協議会の意見を踏まえた上で共通課題をベースとしながら個別課題についても同時並行的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。  以上でございますので、よろしく御了承のほどをお願い申し上げます。    〔教育長古賀周作君登壇〕 10: ◯教育長(古賀周作君) 菅沢議員の御質問のうち教育関係についてお答えいたします。  まず、教育条件検討会についての御質問でございますが、業務地化の進行と夜間人口の減少により、これまで学校を支えてきた地域社会が変貌する中で、これからの区立学校のあり方、地域社会において果たすべき役割が問われていることについては、教育委員会も同じ認識に立っているところでございます。  第二次教育条件検討会は、昨年九月以来、学校教育を取り巻く環境の変化に対応し、本区の質の高い教育を維持し、児童生徒の健全な成長を促す望ましい教育条件の確保の方策について検討を続けております。現在、学校の適正規模の確保と適正配置の問題に取り組みながら、都心にふさわしい新しい時代に対応した区立学校のあり方について論議しております。  学校は、区政の基本となる教育と文化の進展に大きな役割を果たすことが期待されておりますが、現実に進行する学校をめぐる厳しい状況を直視しながら、新しい都心の地域社会の形成発展に資する学校を目指していくことが求められていると考えております。  検討会は、本年夏ごろをめどに報告をまとめることになっておりますが、区立学校の適正規模、適正配置は重要な課題であり、まちづくりの推進を初めとする区政の進展に大きなかかわりを持つと同時に、地域に与える影響も大きい問題であります。  教育委員会といたしましては、報告を受けた後、その内容を検討し、区政の他の関連施策との整合を図り、区民の理解を得ながら、具体化に向けて努力する必要があると考えております。  次に、神田東部公共施設と佐久間小学校とにかかわる御質問にお答えいたします。  佐久間小学校の新しい施設設備は、学校の意向を十分に反映したものであり、これを教育上有効に生かすよう、他の複合施設等も含め、その活用の新しい方向を考えております。  例えば、室内温水プールの活用による体力の向上、視聴覚設備の完備した音楽室や区民図書室の活用、さらに、多目的ホール、和室の活用等従前に増して教育活動を活発にする多様な方法が考えられます。  また、佐久間小学校においては、敬老給食や正月に地域のお年寄りを招いて子供の伝承遊びを教わることなど地域との連携が密でありましたが、新しい複合施設を利用して、今後さらに地域に根差した教育活動の充実ができるものと思われます。  新しい施設設備が教育活動に有効に生かされ、よりよい教育実践を推進するよう一層配慮してまいりたいと存じます。  次に、佐久間幼稚園の特別課程についての御質問にお答えいたします。  佐久間幼稚園は、神田東部地域の実情に即した新しい運営形態を持つ幼稚園として構想されたものでありまして、長時間の保育を必要とする幼児に対する特別課程の設置は、全国的にも新しい試みであります。この構想の実現に向けて一昨年度から庁内に検討委員会を設けて検討してきたところでございます。  検討委員会は、既に区として決定を見ている佐久間幼稚園の設置構想によって、学校教育法に基づく教育施設としての幼稚園であることを運営の基本に置き、特別課程の設置経緯を勘案して、佐久間幼稚園の組織及び管理運営の基本的考え方を示すとともに、実施方法についてまとめております。  報告の内容といたしましては、まず特別課程の保育内容は、家庭や地域社会の持つ保育機能を十分考慮するものとし、保育を効果的に行うための教職員の配置と勤務態様についてまとめるとともに、入園手続、保育料の設定、給食の実施等同幼稚園の組織及び管理運営全般にわたっております。  今後、検討会の報告を踏まえて実施案を作成し、条例等の整備を行い、十二月には入園児の募集を行う予定でございます。  六十三年四月からの特別課程における適切な保育の実施に向けて準備に万全を期するとともに、保育園、小学校等を含む総合施設の諸機能を生かした佐久間幼稚園の保育活動の新しい展開を図ってまいりたいと思います。  何とぞよろしく御了承をお願いいたします。 11: ◯議長(吉成五郎君) 次に、日本共産党区議団を代表して、三十五番野口つた子君。    〔野口つた子君登壇〕 12: ◯三十五番(野口つた子君) 第二回定例会に当たり、日本共産党区議団を代表して質問を行いたいと思います。  第百八国会の特徴は、公約違反の大型間接税導入、マル優廃止の中曽根自民党政府の意図が明白に破綻したということだと思います。本来ならば中曽根首相は退陣すべきでありますが、あくまでも政権にかじりついております。そして、六兆円の緊急経済政策を発表し、アメリカ向けだけでなく、明らかに人気回復をねらっております。  一方、ニューリーダーと言われる方が中曽根首相からバトンタッチしようとねらっていますが、彼らは新しい路線をつくるのではなく、中曽根内閣の後継者として、自民党の反動路線を引き継ぐものであることに変わりはありません。一斉地方選挙で国民は自民党政府のうそとペテンに怒り、自民党に対し厳しい審判を下しました。  日本共産党は、全国で百五十三名の議席をふやし、議員は三千八百二十四名となり、党史上最高となる成果をかち取りました。このような中で、日本共産党区議団は、三名から四名の区議団に躍進させていただきました。これからは、公約の実現、区民の暮らし、営業を守り、福祉の充実のために全力を挙げて奮闘する決意を申し上げまして質問に入りたいと思います。
     まず初めに、新大型間接税導入問題であります。  日本共産党は、一斉地方選挙で、売上税導入反対、マル優廃止を許すなと一貫して主張し、運動を広げ、活動を続けてまいりました。  中曽根自民党内閣は、昨年の国政選挙で大型間接税の導入はしないと国民に約束したにもかかわらず、うそとペテンで票をかすめ取り、三百以上の議席を獲得するや、大型間接税を売上税と名前を変えて提案し、不退転の決意でこれを成立させると意気込みました。しかし、公約違反の売上税、マル優廃止については国民の怒りを買い、日に日に反対が強まり日本じゅうが騒然となる状況をつくり出しました。まちに張られたポスターの中には、「売上税に賛成する議員を落選させよう」ということまで書かれている状況でもありました。  このような中で行われた一斉地方選挙では、自民党の党首である中曽根総理大臣が、選挙の応援に行きたくても、どこからもお呼びがかからない、むしろ、来てくれるなというような異様な選挙でもありました。  自民党の選挙方針は売上税を導入するという方針であり、政府広報でも、中曽根総理は不退転の決意で実行すると述べております。しかし、一斉地方選挙ともなりますと、自民党公認の方であっても「売上税反対」と意思表示をしたり、ステッカーを張ったりして、自民党から票が逃げるのを食いとめようとしました。  このような状況であっても、なぜ政府自民党は売上税の導入やマル優廃止を進めようとしていたのでしょうか。それは、我が党がはっきりと指摘しておりますように、一つは、軍事費をふやすための財源づくりであり、二つは、アメリカとの約束を守るためであり、三つ目は、財界からの要求に沿った減税のための財源づくりにほかなりません。だからこそ、国民は、業者を初め大多数が、暮らしや福祉、営業を守るためには、大型間接税である売上税は絶対反対という意思表示を大きく広げ、政府自民党が数で押し切ろうとする策略も許しませんでした。  こうして、国民多数の世論と行動が、売上税関連法案、マル優廃止の法案を廃案に追い込みました。  第百八国会の大目玉、売上税の廃案は中曽根内閣退陣につながるものでした。しかし、売上税関連法案を廃案にするかわりに、直間比率の見直しを前提にした税制改革の協議の場をつくるという衆議院議長あっせんに共産党を除く野党が賛成し、しかも、中曽根内閣の延命に手をかし、この税制協議会に共産党を入れないという私的機関を舞台に、新しい大型間接税の導入に向けて本格的な巻き返しを図ろうとしているのです。  日本共産党は、議長あっせん案は、新しい間接税の導入はしないと言明しておらず、新しい間接税の火種を残しており、受け入れられないと拒否しました。これだけ国民が反対し、売上税法案が廃案に追い込まれたのですから、中曽根首相は、国民に向けて、もうやらないと陳謝すべきであり、きっちりと締めくくり、その上で税制協議機関の提案をすべきであり、それを要求するのは当然のことだと思います。  事実、中曽根首相は、直ちに談話を発表し、売上税は事実上廃案になったという見方もあるが、私はそうではないと解釈していると述べ、勝負はこれからだと述べているように、新しい間接税を導入するという火種を消す戦いはこれからが重要になってきております。  議長あっせんを受け入れた自社公民の四党は日本共産党を排除して税制協議機関を発足させました。議長あっせんに基づいて税制協議機関をつくるならば、国民が最大の政治的関心を持っている売上税問題の今後を決める協議機関ですから、どの会派であれ、特定の会派を除外することは、議会制民主主義のあり方からして断じて許されるものではありません。  自社公民各党は、税制協議機関から日本共産党を締め出す理由として、日本共産党が議長あっせんを受け入れない態度をとったことを持ち出しております。  しかし、先ほども述べましたように、議長あっせんに対し共産党が反対の態度を表明するのも、賛成の会派があるのも、国会が国民の代表機関である以上当然であり、国民の声を正当に反映したものです。一般新聞の投書欄でも、異論を唱えたからといって、ある一党を排除するのは不可解とする声が上がっております。  もしも、自社公民各党の言い分に従うなら、議長あっせんには、どんな内容であっても従わなければならず、そうしなければ国会に置く機関から排除しても構わないということになります。こんな暴論がまかり通るとしたら、その結果は議会の危険な翼賛化、ファッショ化を招くだけだと思います。  日本共産党が議長あっせんを受け入れなかったのは、それが新しい大型間接税に直結する直間比率の見直しを税制協議の前提に据え、各党の協調や努力を事実上義務づけているものだったからです。これは一斉地方選挙で示された売上税反対、大型間接税反対の国民の審判に照らしても、全く当然の態度だと思います。  「直間比率の見直し=新型間接税導入」を前提とすることを受け入れる党の代表だけで構成し、反対意見を持っている党は初めから入れないという税制協議機関では、これが新型間接税導入の露払い役となる危険も十分あることを言わざるを得ません。  中曽根首相は、ベネチア・サミットに出席し、マル優廃止を約束してまいりました。早速自民党は、この税制改革協議会第五回会合で、六十二年度減税の財源にマル優を廃止して充てるとともに、六十三年度以降は大型間接税を導入する考えを表明しました。  自民党の提案は、税制の抜本改革の一環として恒久財源を確保しつつ、今後総額二兆七千億円程度の減税を行う。六十二年度は税制改革の一環として総額一兆円を下らない規模の所得税等の減税を先行実施し、その恒久財源はマル優廃止等により確保するというものです。  自民党案にある総額二兆七千億円は廃案になった売上税関連六法案を前提にした減税額と同額で、マル優廃止を突破口に新型間接税導入をあくまで実現しようとする政府自民党の反国民的姿勢を露骨に示したものです。ですから、新しい大型間接税をつくろうとする自民党を中心とする勢力、これに妥協する勢力と、これに反対する勢力との長期にわたる闘争になることがはっきりしてきております。それだけに公約違反の売上税を廃案にまで追い込んだ国民の力を、さらに大きく、広く結集して、新大型間接税導入、マル優廃止のねらいを完全に粉砕する戦いは大変重要になってまいりました。  そこで区長にお尋ねいたします。中曽根内閣は、議長あっせんで売上税関連法案を廃案にするかわりに直間比率の見直しを前提とした税制改革協議会をつくり、新たな大型間接税を導入するための火種を残しましたが、この問題についてどのように受けとめておられるか、まずお伺いいたしたいと思います。  また、マル優廃止について、中曽根首相はベネチア・サミットで約束し、臨時国会で実行したいとしていますが、どのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。税金が高いという声は、区民の中では当たり前というほど都心区での重税感は強まっております。  そこで政府は、直間比率の見直しという形で税制改革を持ち出してまいりました。直間比率の見直しとは、現行の直接税と間接税の比率が現在七対三程度と、直接税の比率が高過ぎるから間接税の比率を高める必要があるというものです。政府自民党、大蔵省は、この見直しが時代の趨勢であり、それによって税制のゆがみ、ひずみ、重税感を解消できるかのように宣伝しております。  しかし、こうした宣伝は、全く国民を欺くもので、それによって新大型間接税導入をいかにも根拠があるかのように見せかけるごまかしにほかなりません。例えば、仮に八六年度税収額をベースにして直間比率を現行の七対三から六対四にするならば、それだけで間接税は六兆円、五対五の場合は十兆円近くもの大増税となると言われております。それは国民の猛反対を受けて廃案となった売上税導入で予定された増税額二兆九千億円を大きく上回るもので、まさに大型間接税そのものであります。その上、間接税は消費やサービスに課税されるため、物価騰貴をもたらすばかりか、低所得者ほど負担が重い大衆課税であります。当然これは地方自治体の財政を圧迫するものでもあります。  私ども日本共産党は、中曽根内閣、自民党による直間比率見直し論のごまかしを広く国民、区民に明らかにするとともに、大型間接税導入のための新たな策略を打ち破っていくことが重要だと考えます。  国民の立場に立って税制改革を行うというなら、大企業、高額所得者優遇の不公平税制にこそメスを入れ、増税なしの大幅な所得減税を実施すべきであります。  区長は、政府の新型間接税導入への新たなごまかしを区民に知らせるとともに、区民の暮らしや福祉、営業を守るために、きっぱりとした態度表明をすべきと思いますが、このことについての見解をお尋ねいたします。  次に、特別養護老人ホーム建設について質問いたします。  私は、一日も早く特別養護老人ホームを千代田区内につくってほしいという区民からの強い願いを受け、改めて特別養護老人ホームの早期建設を要求し質問をしたいと思います。  私ども日本共産党区議団は、近隣の区で建設した特別養護老人ホームをぜひ視察したいとお願いし、台東区で新設したばかりの浅草にある施設を視察してまいりました。ここは、都の施設の跡地を台東区が買収し、定員八十名の地下一階、地上五階の建物です。表から見ると、一見マンション風であり、まちの中に建っております。部屋も明るく、そして、お年寄りの一人一人が、快適に、安全に、不安を感じることなく、明るく楽しく過ごせるようにと配慮され、また、職員も努力をしていることの説明を聞きました。「両国の花火のときは、この建物の中から見えるんですよ」という説明を聞き、自分の住んでいる区内の施設に入れれば、このような楽しみも家族や近所の人と一緒に味わえることができると思うと、千代田区に早くつくってほしいと願わずにはいられません。  最近も、お年寄りの相談が相次ぎ、ぼけの親を抱えて面倒を見ていた人が過労で倒れてしまったり、おじいちゃんを看病しているおばあちゃんが、これでは私まで寝込んでしまうという状態になってしまうなど、お年寄りを抱えている家庭の問題は深刻になっております。  区役所の担当の窓口でお願いしても、特別養護老人ホームにはなかなか入ることができず、現在でも十人ほどが申し込みをし、順番を待っている状況であります。現状では、待っている期間が半年、一年というように長期にわたりますので、その間をどうするかを考えなければなりません。近隣の区で建設したから入れてもらえるかというと、自分の区でいっぱいであり、それに頼ることはできません。高齢化社会が進むにつれ、今後も痴呆性老人はふえていくことが、痴呆性老人問題の総合対策を検討している厚生省の痴呆性老人対策推進本部が推計を発表しております。  私たちは、常に健康に留意し、幾つになっても他人の世話にならず、自分の力で暮らしていきたいと心がけております。しかし、不幸にして病気や事故でどうにもならなくなったとき、また、現在、施設を必要としている人たちのために、一日も早く千代田区内に特別養護老人ホームを建設してほしいのです。介護を必要とするお年寄りが温かく迎えられ、人間としての尊厳を大事にしてくれる施設が多くの区民から望まれております。  今では、用地費だけでなく、建設費や運営費についても都区財調の算定事業になっているのですから、財源的保障はあります。しかし、区が計画を持たなければ、この財源は確保できません。ですから、区がその気になれば、財源も確保でき、建設もできる施設であります。  「スープのさめない距離に」と言われておりますように、お年寄りが長年すんでいる千代田区内に特別養護老人ホームができれば、安心して入り、暮らすことができると思います。家族や友人も、いつでも会いに行けるのです。区民の強い要望である特別養護老人ホームの建設を一日も早く決断し、区民の要望にこたえていただきたいと思いますが、区長の明快な答弁をお願いいたします。  次に、老人に対する入院見舞金制度について質問いたします。  政府自民党は、老人保健法を制定し、七十歳以上のお年寄りの医療費を昭和五十七年から有料化し、さらに法改正を行い、ことしの一月一日から医療費の大幅引き上げを行いました。それによってお年寄りの医療費は、外来で一カ月一診療科目ごと四百円を八百円に、入院の場合一日三百円を二カ月間支払うというのを、今度は一日四百円で、入院している間じゅう支払わなくてはならないというふうになりました。  お年寄りは、最初の有料化に切りかえられたときは、少しの負担は仕方がないという気持ちを持っていた人であっても、再度の医療費引き上げに、これでは医者にもかかれないと、老人クラブなどが立ち上がり、引き上げ反対で全国的な大きな運動を巻き起こしております。  お年寄りは、年金で生活している人や、少ない収入でやりくりしている人がほとんどです。負担だけが多くなったら生活できなくなりますし、入院した場合の費用負担は大変です。  そこで、今入院見舞金制度が注目され、幾つかの自治体で取り入れられてまいりました。  お年寄りの医療費については、国の責任において無料制度を復活させ、切実な住民要求にこたえるべきであります。国の福祉の切り捨て政策によって、お年寄りの医療に冷たい仕打ちをしてきているとき、地方自治体がお年寄りの生活の安定と福祉の増進のために施策を打ち出すことは重要なことだと思います。  都下の町田市は、老人が医療機関に入院した場合に、入院見舞金の支給を行うことにより、老人の生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的として、町田老人入院見舞金の支給に関する条例を発足させています。二年前から発足させ、内容は、一定の所得制限はありますが、市内在住の七十歳以上の老人が七日以上入院した場合五千円、三十日を超える場合一万五千円を支給するというものです。町田市内老人人口の五・九%に当たる千二百三十八人が受給しており、市民に大変喜ばれている制度です。  老人保健法改悪などにより医療費負担増で困っているお年寄りに、生活の安定と福祉の充実のために、温かい行政の手が差し伸べられることが重要だと思います。市民から喜ばれている老人入院見舞金制度について検討し、ぜひ千代田区のお年寄りのために取り入れるべきと思いますが、区長の見解をお尋ねいたしたいと思います。  次に、国家機密法についての質問をいたします。  中曽根首相は、自分が内閣のときに国家機密法を制定したいという強い執念をもって臨んでおります。  これは、中曽根首相自身がファッショ的な体質の持ち主というだけでなく、日米の反動支配層がこの法律を強く望んでいるからにほかなりません。日米軍事同盟を守り、軍事費をふやし、核戦争の道を開くことをねらっているためであります。  国家機密法、スパイ防止法とも呼んでおりますが、これはスパイを取り締まるもので、国民は関係ないと思ったら大間違いです。一般の国民全部が対象にされるものであります。しかも、それ以上に恐ろしいのは、政府が勝手に秘密扱いにしたものを国民が知らずにしゃべっただけでも、ひどい罰則で取り締まるというもので、これによって国の政治の重要なことが国民に何も知らされなくなってしまうことです。  この前の戦争中、大本営発表で、勝っているという報道のみで、本当の戦況は知らされず、疑いを持つことすら許されませんでした。  今でも政府は、都合の悪いことは全部国民には秘密にしております。新聞や雑誌の取材や報道の自由がなくなったら、また国会で質問も調査も政府が秘密と指定したものを公にしたら、関係者は秘密を漏らした罪で罰せられるのです。  国家秘密とは、八五年六月提出された法案の第二条では、この法律において国家秘密とは、「防衛及び外交に関する別表に掲げる事項並びにこれらの事項に係る文書、図画又は物件で、我が国の防衛上秘匿することを要し、かつ公になっていないものをいう。」と規定し、別表に示されている秘密の内容は、政府が一方的に決められることになります。  こうして、スパイ防止の名目で政府が勝手に秘密をたくさんつくり、それを国民に、見るな、聞くな、言うなと重い罰でおどしつける世の中になったらどうなるでしょう。国民全体が真実を知らされない世の中になったら大変です。  政府は八五年十二月、国会に提出した国家機密法案が廃案になった後、国民の反対を和らげるために、一定の修正を行いました。しかし、修正をしても、法律そのものの本質を変えるものとはなっていません。  昨年七月の同時選挙で自民党が大幅に議席をふやした後、これで国家機密法も通ってしまうのではないかと思われるような状況もありましたが、三百議席は軽視できないが、決して恐るるに足らずと反対運動が大きく広がり、その後の第百七国会、第百八国会においても国民は法案の国会提出を許しませんでした。  しかし、中曽根内閣は、すきをねらっては再提出をしようとしています。なぜ、今、中曽根内閣はこんなひどい法律をつくろうとしているのでしょうか。一つは、アメリカの核戦争戦略に沿って新たな軍事協力体制をしっかりとつくり上げ、いつ戦争になっても対応できる国家づくりを進めております。もう一つは、そのための法律、政党法や有事立法をつくったり、憲法を改悪したりするためです。  中曽根首相の言う「戦後政治の総決算」とは、戦後、日本国民がつくり上げ、守り続けてきた民主主義、平和主義を壊し、憲法を踏みにじることです。  戦前、旧憲法や治安維持法などで無権利状態に置かれた日本国民は、軍機保護法の改正や、国防保安法の制定を積み重ねながら、ますます国民の声を抑え、戦争への道を走っていく政府を押しとどめることはできませんでした。しかし、今は違います。弁護士会を初め多くの団体、個人が引き続き再提出反対の運動に取り組んできましたし、多くの団体がマスコミに、国家機密法反対の意見広告を出すなど、反対の取り組みも手を緩めず進められております。  さらに重要なことは、地方自治体が戦争に協力することを義務づけられないよう、また、徴用や徴兵などの仕事を絶対に行わないようにするために、地方自治体として民主主義を守るために、国家機密法反対の立場を明確に表明し、地方自治の本旨を守ることは重要なことであると考えますが、区長の見解をお尋ねしたいと思います。  最後に、非核平和都市宣言について質問いたします。  日本が世界でただ一つの被爆国であり、広島、長崎を繰り返してはならないという平和を願う取り組みは、日本だけでなく、世界に大きく広がってきております。  今、世界では、核兵器廃絶を要求する運動が大きく広がっている反面、大規模な軍拡が進められています。  先日開かれたベネチア・サミットでは、核廃絶の運動を恐れ、核兵器にしがみつくことや、戦争をどうやってやめさせるかでなく、アメリカの戦争介入にサミット参加国がどう協力するかが話し合われました。  今、世界では、核戦争を阻止し、核兵器廃絶が緊急の課題として、平和を願う草の根の運動が大きく広がってきております。  このようなときに、日本共産党によって日米安保条約のもとでの核兵器持ち込みについての日米秘密取り決めが存在することがアメリカ政府の公文書で明らかになりました。しかし、中曽根政府は密約の存在を否定し続けています。  広島、長崎への原爆投下という悲惨な体験に基づき二度と核兵器の悲劇を繰り返してはならないと、核兵器のない日本、核兵器のない世界の実現を切実に求めている日本国民にとって、日本への核持ち込みを認めた密約の存在は絶対に放置できない問題であります。  核密約の存在を裏づけたアメリカ政府の公文書は、一九六六年二月二十四日付、ラスク国務長官からライシャワー駐日大使あての極秘訓令電報で、当時、国際的に問題になっていた核拡散防止条例に関連して、日本を絶対に非核の方向にいかせてはならない、日本が非核の国際的義務を負う事態はどうしても阻止しなくてはならないというアメリカ政府の対日政策を実行に移そうとしたものでした。  もし、日本が真に非核政策をとったら、アメリカは、核可能部隊、軍艦を含むものですが、在日米軍基地に持ち込むことができなくなり、また、一九六〇年の日米秘密合意によって認められた日本への核兵器の持ち込みについて日本政府の合意を求めるアメリカの権利が侵される心配があると訓令電報は述べています。その危惧から、問題の米政府公文書は、秘密裏に日本政府高官と接触し、日本が核持ち込みの密約を守って非核の方向に進まないように工作することを東京のアメリカ大使館に指示しています。これは、日米安保条約のねらいの一つが日本の核戦争の基地化、日本への核持ち込みにあることを露骨に示したものだと言わなければなりません。  このような日米間の核持ち込みの密約が存在しているにもかかわらず、自民党政府はこの電報の翌年、一九六七年に非核三原則を持ち出して国民を欺いていたのです。  自民党政府が、非核を願う国民の強い願いを踏みにじり、国民に隠してアメリカの核兵器の日本持ち込みを認める密約は絶対に許すことはできません。  政府は、国会と国民の前に核の密約についての一切の真相を明らかにすべきであると思いますが、このことについて区長はどのようにお考えでしょうか。お尋ねをしたいと思います。  自民党中曽根内閣は、核抑止力論を進め、アメリカに協力し、軍事費をふやし、アメリカによるアジアでの核戦争体制に日本を組み込んでいく道に一段と深く踏み込んでいます。  核抑止力、これは相手を上回る核兵器を持つことによって相手の行動を抑えるという考え方ですから、相手より上回ろうとすれば核兵器はふえるばかりです。戦後四十一年、核兵器をふやす競争が繰り返されてきたことは、この核抑止力論がどんなに間違った考えであるかを教えていると思います。また、自民党は、非核都市宣言についても敵視し、妨害する姿勢をとっております。  今、重要なことは、核戦争阻止、核兵器廃絶の運動を草の根から地域から広げ、核兵器に反対する広範な世論を大きく巻き起こし、核兵器にしがみついている勢力を徹底的に孤立させていく運動を強めていくことが決定的に重要となっています。  このようなときにこそ、地方自治体の役割は重要です。日本共産党区議団は、区長に対し、区が非核平和都市宣言を行い、具体的な取り組みを進めるよう区議会のたびに要求し質問をしてまいりました。各地の自治体もさまざまな取り組みで実際に効果を上げております。  何度も引用させていただいておりますが、例えば神戸市では、神戸港に入港する外国軍艦に核を積んでいないという証明書を発行させる措置をとっているために、アメリカの核を積んでいる艦艇は事実上寄港できなくなっております。また、このような措置が、ニュージーランドにも広がっております。非核平和都市宣言を行った新宿区や港区など、平和予算を組み、原爆写真展や平和の集いなどを開いております。  このように、各地域でさまざまな取り組みを計画し、実行していくことが大変重要なことだと思います。  区長は、今までの答弁で、「私は被爆国の国民の一人として、また、悲惨な戦争体験者として核兵器の全面禁止を強く願うもの」としながらも、積極的に核兵器の廃絶に向かっていくという姿勢でなく、区議会の意向を受けて対処するという受け身の姿勢できたと思います。  人類を滅亡させる核兵器は、なくす以外にありません。非核平和都市宣言について積極的に受けとめていただき、そして区長の御答弁をお願いいたしまして私の質問を終わります。(拍手)    〔区長加藤清政君登壇〕 13: ◯区長(加藤清政君) 野口議員の御質問にお答えいたします。  まず、新大型間接税導入問題等についてお答えいたします。  第百八回通常国会に提案されました税制改革関連の六法案については、審議未了のまま廃案となったことについては御指摘のとおりでございます。  現在、衆議院議長の裁定にもとづき、与野党の税制改革協議会が設置され、六十二年度減税を含む税制の抜本的改革について改めて協議が進められておりますが、税制改革問題は、議長あっせん案において、今後の高齢化社会に対応するなど将来の我が国の財政需要を展望するとき、重要課題の一つであると述べております。最近における世論調査も、国民が所得税を中心とした減税を強く求めていることを示しております。  今後、減税財源、さらには税制改革のあり方について協議がなされ、直間比率の問題、少額非課税制度等についても論議がなされるものと考えられますが、私といたしましては、従来どおり、区民の生活を守るという基本的な考え方に立ち、議会とも十分に連携をとりながら適切に対処してまいる所存でございます。  次に、非核平和都市宣言についてお答えいたします。  核をめぐる内外の動向につきましては、私も十分に認識しております。人類が科学によってつくり出した兵器により、みずから絶滅的な打撃を受けるようなことは絶対に避けなければなりません。平和を求める運動の根底をなすものは、国民一人一人の心の中で醸成される平和への決意であると考えます。  したがいまして、核兵器と平和の問題、特に平和都市宣言に関しましては、再々御答弁いたしておりますように、区議会における十分な御論議を踏まえた上で対処してまいりたいと存じますので、御了承をお願いいたします。  次に、国家機密法案についてでございますが、一昨年廃案となった旧法案に修正を加えて、防衛秘密に係るものと改められ、現在この改正案をめぐって各界で活発な論議が展開されております。  国の安全を確保する上で重要な国家機密が存在し、これを何らかの方法により対外的に保護する必要はありますが、防衛秘密保護のための立法措置に当たっては、憲法で保障する国民の基本的人権や言論、表現の自由などを侵害する恐れのないことが特に必要であると存じます。  この問題につきましては、以上のような観点から、国政レベルで十分論議が尽くされ、国民世論の動向を踏まえた上で慎重に対処されるべきものと考えておりますので、御了承のほどお願いいたします。  なお、他の事項につきましては、関係理事者をもって答弁いたさせますから御了承をお願いいたします。    〔福祉部長斎藤喬君登壇〕 14: ◯福祉部長(斎藤喬君) 野口議員の御質問のうち、特別養護老人ホームの建設についての御質問にお答えいたします。  本区の高齢化の進行、とりわけ、七十五歳以上の後期高齢者の増加と、住宅事情等により要介護高齢者の増加に対する在宅介護能力の低下が顕著となっております。したがいまして、専門的介護サービスを提供する介護施設の必要性はますます増大しております。  その実態を踏まえて、現在部内に設置しております福祉行政検討委員会におきまして、福祉施策全般についての総合的体系化を図るべく検討しているところでございます。したがいまして、特別養護老人ホームの設置につきましても、この検討委員会の中で、千代田区にふさわしい施設のあり方について検討を急いでいるところでございますので御了承願います。  次に、老人入院見舞金制度についての御質問にお答えいたします。  老人医療費における老人の一部負担金の導入は、医療費に対する世代間の負担の公平と、医療及び健康確保における老人自身の自覚という観点から、その導入が図られたものでございます。そして、御質問にもありましたように、老人保健法が本年の一月から改正され、その一部負担金が引き上げられたところであります。  しかしながら、今回の法改正におきましては、低所得者と特定疾病者に対しまして入院時の一部負担金の減額措置がとられるなど一定の配慮が加えられております。  御提案のありました入院見舞金制度の創設につきましては、この法の趣旨からいって大変難しい問題があろうかと存じます。  なお、法改正に際しましては、国会におきまして本格的な長寿社会の到来に対応すべき措置として一部負担金の見直し等を含め十数項目の附帯決議がなされているところでもありますので、これらの点も踏まえまして、今後の国の動きを見守るとともに、本区といたしましても、高齢者福祉施策の総合的な充実に向けて最善の努力を傾けてまいりたいと存じますので、御了承のほどお願い申し上げます。 15: ◯三十五番(野口つた子君) 自席から再質問させていただきます。  一つは、新大型間接税問題です。私が指摘しましたのは、国会で議長あっせんでつくった税制協議会は、新しい間接税、税制改革の見直しという形で、新しい間接税の導入の火種を残しているという指摘をしました。その中で目的を持った間接税が出されてくるということは、別な形での大型間接税というふうなことを予測しなければならないわけです。そういう問題について区長はどういうふうに受けとめておられるのか、別の名前が目的税という形になればいいと思っているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
     それから、マル優廃止を打ち出して、実際にこの協議会で検討が始まってきているわけです。提案されているわけです。この問題について、マル優廃止について区長はどうお考えなのか、その点をお尋ねしたいと思います。  それから、特別養護老人ホームの問題ですが、いつも検討中、いろいろと検討しているという御答弁をいただいております。しかし、その中で、特養ホームの施設の必要性ということはいつも申し上げられておりますけれども、その必要性を言いながら、何で検討に時間がかかっているのか、普通ならば本当に必要性が緊急ならばなるほど早くつくるという方向に向かうのが普通だと思うんです。ところが、なかなか検討時間が長くなって一向に答えが出ないような状況でもあるわけですが、何でそんなに時間がかかっているのか、そして、何が問題でこのように時間がかかっているのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。    〔区長加藤清政君登壇〕 16: ◯区長(加藤清政君) 野口議員の再質問にお答えいたします。  最初に、大型間接税導入について、現在国民の間には所得税、住民税等減税を求める声が強く出されております。また、現行間接税、直接税には、経済、社会の変化に適合しない内容となっているものがあることも事実であります。  しかし、直間比率の是正や新たな税目の導入については、国民生活や経済活動に与える影響を慎重に検討し、その必要性と税の内容が十分に国民の前に明らかにされた上実施されるべきものと考えます。  税制改革についての基本的考え方は、区政を預かる責任者として、税制改正が区民の十分な理解と協力が得られないと判断した場合には、国民生活の安定向上を図る観点から千代田区議会と一体となって対応してまいりたいと存じます。  なお、二番目の少額貯蓄制度について、少額貯蓄非課税自身については、現行制度が一般庶民に定着していること等を考えるとき、存続が望ましいと思いますが、今後税制改革協議会において慎重審議がなされ、税体系におけるその位置づけが図られるべきものと考えております。  どうぞ御了承をお願いいたします。    〔福祉部長斎藤喬君登壇〕 17: ◯福祉部長(斎藤喬君) 野口議員の再質問にお答え申し上げます。  特別養護老人ホームの建設問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、福祉行政検討委員会の中で、この福祉施策全般にわたっての検討という中で行っているわけでございまして、特にこの千代田区にふさわしい施設というものはいかにあるべきかというようなことで、やはり用地問題あるいは財政措置あるいは総合的な施設のあり方その他について、やはりいろいろの観点からこういうものを検討していくということでございまして、まだその結論が出ていないという状況にございます。  そういうことでございますので、御了承願いたいと存じます。 18: ◯議長(吉成五郎君) 議事の都合により暫時休憩いたします。    午後三時二十八分休憩    午後四時二分開議 19: ◯議長(吉成五郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、会議時間を延長いたします。  代表質問を続けます。  公明党議員団を代表して、九番川島ひろゆき君。    〔川島ひろゆき君登壇〕 20: ◯九番(川島ひろゆき君) 昭和六十二年第二回区議会定例会に当たり、公明党議員団を代表して質問をいたします。  我が国の人口の高齢化は、世界でも類を見ないほどの速度で進行し、将来的には他国が経験したことのない高齢化社会への対応を迫られることが予測されているところであります。こうした本格的な高齢化社会へいかに対応していくかということは、単に社会保障や社会福祉としての課題であるというだけではなく、政治、経済、文化等広い範囲にわたって総合的に取り組まなければならない課題であると思います。  したがって、所得保障、保健医療、住宅、福祉、教育、雇用など広範な分野にわたっての条件整備が必要になってくるわけであります。しかも、その条件整備も各分野ごとの縦割りではなく、サービスの受ける区民一人一人から見て、総合的かつ一体的な施策となるような対策を講ずることが重要であります。こうした施策展開が図られることによって、生き生きと暮らせる地域社会をつくり上げていくことができるものだと思います。  我が党は、これまでたびたび高齢化社会に対応すべく具体的な提案をしてきましたが、いまだ実現にまでは至っておりません。  福祉部は昨年四月、区民にわかりやすい組織とするという観点から、対象者別に機構改革を行い、高齢者福祉についての専門部門として高齢者福祉課を設置したところであります。また、老人センターも高齢者センターとして改称し、高齢者福祉の拠点施設として有効に運営されております。  しかしながら、組織改正からたった現時点において、これからの深刻な高齢化社会に対応した、区としての総合的高齢化対策の具体的理念と方向性が明確になっておりません。特別養護老人ホームの設置問題等に関して、再三総合的福祉施策を検討中との答弁をこれまでもいただいております。先ほどもそのように答えがありました。さきにも述べたように、広範な分野と有機的な連絡調整のもとに、早急に全体的な高齢者対策の方向性を示すべき時期に来ていると言えるのではないでしょうか。  そこで、福祉部における検討会議の結論はいつを予定しているのでしょうか、その時期を明らかにしておいていただきたいと思います。また、当区がこの急激な高齢化社会に対応して、将来的に何を目標に施策を考えておられるのか、ハード面とソフト面について具体的な検討の状況等を明らかにしておいていただきたいと思いますので、御見解をお願い申し上げます。  次に、高齢化社会に向けて具体的な事項についてお伺いいたします。  まず、私は高齢者の生きがいとは、何十年とその人が精魂込めて働き、生きてきたその仕事と人生についての経験と知恵とが世の中に求められ、役立つという意味ではないかと思うのであります。  こうした観点について、私は最近高齢者福祉の先進国アメリカにおいて高齢者の生きがいに対する理念が、社会的にきちんと位置づけられていることを知りました。  アメリカには老人憲章があります。老人の権利と責任というふうに分けられた老人の権利の中に、第一に、住宅を確保する権利があり、第二には、経済的な扶助だけではなく、道徳的な扶養を受ける権利がある、第三には、独立して生活する権利がある、第四には、人間として尊敬される権利があると規定しています。そして、これらと裏腹に、老人の責任を強調しております。第一には、老人は自分の引退後に備えて必要な社会的サービスの道を求めて、それを進めていく責任がある、これは年寄りになっても常に社会福祉なり、社会保障なりに協力し、推進すべく責任があることをうたっているのであります。第二には、過去の経験と知識を人のために役立たせる責任があります。第三には、社会情勢の変化に適応するように努力するという責任であります。第四には、晩年になっても常に尊敬され、有用な相談相手になるように家族、友人、隣人などとの関係の維持に心がける責任であります。これは常に家族や地域社会から信頼され、役に立った老人であれということであります。  この老人憲章は、ある意味では明るい老人像であり、老人のあるべきビジョンを描いたものでありますが、今日の日本、特に高齢化の進行している当区の老人にも当てはめることができると思います。  そこで、当区にも高齢者像の指標になるような老人憲章を都市憲章の一つとしてつくるべきであると考えますが、このことについての御見解をお伺いいたしたいと思います。  次に、本区の六十五歳以上の高齢者人口は五年前の昭和五十八年には七千七百四十八名で、全人口に占める率は一三・一%でした。本年には七千五百八十七人、一四%となり、たった五年間で〇・九%も上昇し、急速に高齢化社会が一歩一歩進んでいることを物語っております。  人生八十年の高齢化社会を間近に控え、総理府が実施した長寿社会世論調査において、六十歳を過ぎても仕事を続けたいと考えている人が六割を超え、のんびり気ままな生活に入るのは七十歳からと言う人が多いことが示されております。  老後は、経済的にも子供から自立したいという意識も比較的に強く、収入や貯蓄を確保するとともに、公的年金制度の改善を求める声も多く聞かれます。  調査では、仕事をできるだけ長くしたいという人が四四・七%と最も多く、六十五歳ぐらいまで仕事をしたいという人が一四・三%、七十歳ぐらいまでの方が五・八%と、高齢者になっても仕事をしたいという数字が全体で六四・八%にもなり、男性だけで見ると七七・六%と、大多数の方が何らかの働き口を求めている姿が見えるようです。  こうした高齢者の意識に対し、本区が推進している高齢者事業団の指導、育成拡充は高齢者対策上、大きな柱であり、重要であると言えます。また、社会福祉協議会においても、自主的な独自の高齢者福祉事業を展開しております。現在、高齢者に対する施策について、区が事業団、福祉協議会等に財政的援助を行っておりますが、地域の活力や区民の自発的、自主的発想に基づく福祉活動は福祉を地域ぐるみで考え、取り組んでいく観点から、これからの高齢化社会に向けて、これら団体に対する援助はますます重要になってくると思われます。  そこで、高齢者事業団、社会福祉協議会に対して区として積極的にてこ入れを行い、組織の整備に力を入れると同時に、総合的に高齢者対策を区として調整していくことが必要であると思いますが、見解をお伺いいたします。  次に、教育問題についてお伺いいたします。  これまでに教育の正常化を目指す学制、教育内容、入試制度など数々の改革案が各種機関から提唱されてきましたが、そのいずれも実行されないか、実行されても正常化につながらず、むしろ悪化させる結果に終わっていると言っても過言ではありません。この原因はいろいろな見方があるにしろ、社会の「学歴・学校歴」主義にその主要な原因があるということも考えられます。  終身雇用制度が崩壊して転職することが当たり前の時代には、企業側の望むものは基礎学力ではなく、入社の段階から即戦力として通用し、可能な専門性を持つ人間を採用することであり、すなわち、どの学校を出たかよりも何を学んできたかを社会が重要視する時代になっていると思うのであります。  情報化社会への移行は、あらゆる点で子供たちに影響を及ぼしていますが、情報化社会で大切なことは情報を覚える暗記力ではなく、情報を自主的に判断し、決断を下す能力であるはずであります。また、道徳的な面では自分で自分自身を律する自律的精神が必要となります。その自律的精神をはぐくむためには、労働の厳しさを通して物やお金の大切さを教え、自分の労働によって満たすことを教えることも一つの大きな方法であると言えましょう。  今、子供たちに求められているものは時代の変化に対応した、たくましい個人として時代を生き抜く力を持つことであろうと思います。限られた知育、体育の場である現在の学校教育だけでは、たくましい個人を養成することは無理があると考えます。多様な教育環境の活用により、児童生徒に学習経験の場を提供することは当然でありますが、学校の施設や教師だけでは限界があり、そこで家庭教育、社会教育の必要性があると思うのであります。  当区は、特に教育と文化のまちとしての都市宣言をした区でもあります。二十一世紀に向かって学校教育、家庭教育、社会教育については重要な根本的な問題であり、課題であります。そこでこの学校、家庭、社会の総合的教育の推進のあり方についてどのように考えておられるのか、また、取り組んでいかれようとしているか、お伺いをいたします。  次に、昭和六十二年一月三十一日に文部省から出された学校における学習指導の充実についての文部省次官通達に関連してお伺いをいたします。  過熱する小中学校の塾通いの対応策として、文部省が補習にも積極的に取り組むことなどの通知が出されました。昨年同省でまとめた調査によると、小学校の一七%、中学校の四五%が塾に通っており、東京では中学三年生に関しては八〇%近くの生徒が塾に通っております。こうした状況に対する対策でしょうが、波及する問題は大きく、種々の問題が内蔵されていると思います。  完全に社会に定着されている乱塾の実態をこの通知でどれだけ改善できるのか、ある塾では六年生の二学期以降は、私立中学校に進学する児童は受験に役立たない小学校へ通うよりも塾の勉強を主体的にすべきだと公言しております。この通知は意味がなく、効果がない、あるいは受験戦争を一層過熱するからむしろ危険な通知である、あるいは今まで補助をやらなかった方がおかしい、どんどんやるべきだ等々さまざまな意見が出ていると思われますが、おのおの側面的な意見では到底さばき切れないと思います。区はこの文部省通達をどう受けとめ、さらに学習指導についての通達を踏まえてどのように対応しようとしているのか、お考えをお伺いいたします。  さらに、子供たちの塾通いと課外教育活動についてお伺いをいたします。  教育臨調が進められている現在、教育委員会、各学校の指導には現行教育制度の中で限界があると思われますが、子供の成長にとってさまざまな生活行動、交友関係、遊び等に対する指導は、人間形成の中で欠くことのできない大切な問題であります。長時間の塾通い、日曜日朝早くからのテスト等児童の身体的発育と健康の維持にも不安があります。  当区としては、課外教育活動に対して教師に積極的に援助を行い、中学校を中心に一定の補習等も行われております。この課外教育活動にはゆとりの時間を応用して補習をすることの問題点、そんな程度の補習でよいのか、あるいは放課後、または夏休みの午前中、おくれている児童を集めて特別補習することがよいのか、子供の自尊心をどう考えるか、また教師の超過勤務となる場合はどうするのかなど大変難しい問題も含まれていると思います。  教育委員会は、課外教育活動援助に対して今後どのように考え、どう対処されようとしているのか、子供たちの塾通いの実態、問題点を踏まえて見解をお伺いいたします。  次に、給食及び空き教室についてお伺いをいたします。  東京都教育委員会がまとめた六十一年度給食実態調査では、ランチルームがあるのは完全給食を実施している都内一千四百十八校の小学校のうち百五十校にも上っています。前年度の百三校よりも四十七校も増加し、普及率も一〇・六%になったと言われております。当区も四校実施しておりますが、東久留米市の学校では、初夏には校庭でのお花見給食、秋にはお年寄り給食等毎月一回の行事給食を導入しているそうです。また、全国各地の郷土料理やお母さんの自慢の料理を給食でつくって紹介するなど目先の変わった給食を考えているところもあります。当区においても楽しい教育的にも効果のある新しい発想での給食を工夫してみることが必要ではないでしょうか、家庭や地域と結びついた給食を当区も取り入れるべきと思いますが、お伺いをいたします。  次に、普通教育の空き教室に関してお伺いをいたします。  六十一年度の空き教室は、各区平均二四%の空き教室があると聞いております。当区においても同様だと思われます。建物は区の所有物、中身は教育委員会の所管と、なかなか困難な問題もあると思われますが、今後の空き教室の増加について、現在はっきりとした利用方法を当区として考えるべきではないか、前段のランチルームの問題とも関連すると思いますが、見解をお伺いいたします。  次に、区内に点在する国公有地に対する考え方についてお伺いをいたします。  千代田区のまちづくりに対する取り組みは、最重要課題として全庁的に都市整備部が中心となって推進され、昨年九月には区内六地域に街づくり協議会が発足し、街づくり方針について論議されているところであります。区民の方々や企業等おのおのが十分なる理解と協力を図りながら、行政と一体となってまちづくりに邁進していることは、どなたも異論がないと思います。  既存の商店街の活性化もままならない環境の厳しい中、また地価高騰による住宅地の乱開発等当区の目指すべき活気と安らぎのある調和のとれたまちづくりの推進は、ともすると現実の社会環境のはざまに区民を置き去りにする可能性も出てきているのではないでしょうか、このような変化に即応した対応も、区行政が公共施設を地域開発の核の一つとしながら、積極的にまちづくりに取り組んでいく、つまり行政がもっと能動的に、環境の変化や地域の動向に応じてまちづくりを誘導する、ときには規制をしていくなどの条件整備を図っていくことが必要な時代に入ってきていると思います。そこでもやはり欠かせないことは、地域住民の意見であり、理解であり、協力であることは言うまでもありません。  そこで当面、当区のまちづくりに対する緊急の課題として、当区に数多く存在する国公有地に当区としてどのような対応をするかという問題があります。処分対象となっている国鉄清算事業団の土地、民間対象国有地、神田市場等の都有地その他遊休化している国公有地が数多くあります。これらの土地は、いずれも当区のまちづくりの核となる重要な土地であることは既に御承知のとおりであります。議会においても国公有地対策特別委員会を設置し、集中的に審議が図られることになっていますが、ここで改めて当区の国公有地に対する取り組み姿勢についてお伺いをしておきたいと思います。  その第一は、当区としてそれぞれの土地に対する開発構想を持ち、それをどう活用していくかという問題であります。秋葉原地域については既に検討会議を設置し、今年度中を目標に策定作業が進められていますが、他の場所はどうなっているのでしょうか、区としての考え方なしに相手とは折衝できません。  例えば、新聞等でも大きく取りざたされている一番町国鉄総裁公館跡地に対して、区はこれまでどういう折衝をしてきたのでしょうか、区の考え方はどこにも明らかにされておりません。他の地域も同様であります。特別養護老人ホームを初め区の公共施設整備の課題も残っております。区は早急に各国公有地に対する開発構想を持つべきだと考えますが、その見解をお伺いいたします。  第二に、当区の公共施設の発展を考えますと、国公有地を積極的に取得することも必要であります。街づくり基金の中にも国公有地を取得する基金も含んでいると思いますが、当然地価高騰の折、それには限界があることと思われます。  そこで、今後短期、中期的に国公有地取得に対しどの程度基金の運用が見込めるのか、その見通しを概算でも結構ですが、お示しをいただきたいと思います。  第三に、第一、第二の点及び第三セクター設立準備の動向等も踏まえて国公有地に対し、総合的、全庁的に取り組む体制として、仮称国公有地検討会議を発足させ、対応すべき時期が来ていると思いますが、この見解をお伺いいたします。  以上、大きく三点について公明党議員団を代表して質問をいたしてまいりましたが、区長並びに関係理事者の明快なる答弁を期待いたしまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔区長加藤清政君登壇〕 21: ◯区長(加藤清政君) 川島議員の御質問にお答えいたします。  我が国の高齢化社会の急速な進行は、社会保障や福祉施策はもちろんのこと、社会経済全般に対しさまざまの影響を及ぼしてきております。  老人福祉法においては、老人福祉増進の基本的理念と行政の責務や老人自身の権利、責任がうたわれているところであり、この法の趣旨に基づいて総合的な福祉対策が推進されているところであります。  本区におきましても、これを基本にいたしまして、先般の改定基本計画に社会福祉の基本的方向、考え方を示し、きめ細かな高齢者施策の充実を図っているところであります。  御提案の高齢者のあるべきビジョン、指標が今後の高齢者対策推進のための手段となれば、大変有意義なものと考えますので、これらの点も含めまして研究してまいりたいと存じます。  なお、他の事項につきましては関係理事者をもって答弁いたさせますので御了承賜りたいと存じます。    〔福祉部長斎藤喬君登壇〕 22: ◯福祉部長(斎藤喬君) 川島議員の高齢化社会の対応についての御質問にお答え申し上げます。  今後の本格的な高齢化社会の到来と低成長経済のもとでの福祉需要の増大に対応するためには、保健、医療、福祉部門はもちろんのこと、住宅、雇用、社会参加等広範な分野との連携のもとに、総合的かつ計画的なサービスの供給が必要となっていることは御指摘のとおりでございます。  本区の高齢者対策につきましては、改定基本計画にのっとり、事業の計画化を図り、あるいは具体化に向けて調整を進めているものもございますが、いずれにいたしましても、本格的な高齢化社会に対応すべく施策の総合的体系化を図る必要に迫られてきております。  現在、区内の福祉行政検討委員会の中で地域福祉の推進、在宅福祉の充実に向け、施策の体系的な構築と具体的な在宅福祉施策やその供給体制などについて検討を急いでいるところでありますので、もうしばらく時間をいただきたいと存じます。  次に、福祉関係団体につきましては、行政機能を補完し、地域社会の福祉活動を推進するためには、一体的に運営されることが望まれますので、今後ともこれらの団体の育成、援助を進めてまいりたいと考えております。特に民間団体や地域社会と行政を結びつける調整役として社会福祉協議会に求められる役割は非常に大きいものがありますので、御指摘の点を含めて十分検討してまいりたいと存じますので、御了承いただきたいと存じます。    〔都市整備部参事玉井勇美君登壇〕 23: ◯都市整備部参事(玉井勇美君) 川島議員の御質問のうち、国公有地に対する考え方につきまして、私からお答え申し上げます。  当区において処分を予定されております国有地は、政府の民間活力導入検討対象財産として警視総監公舎跡地、芸大附属高校の二件、計四千三百平米及び国鉄清算事業団の売却用地といたしまして秋葉原貨物駅跡地、飯田町機関区跡地を初めとする計十四件、八万平米ほかに都の神田市場三万平米等がございます。  都有地は別といたしまして、これら国有地等の処分に当たっての最大の問題は、地価高騰に結びつく一般競争入札を原則としていることでありまして、この処分方式には千代田区を初めとして、二十三区東京都が一致して反対してきたところでございます。  国公有地は、本来国民共有の財産であり、地域のまちづくりに寄与する方向での有効活用が図られるべきであるという考えから、当区においては最大の拠点であり、大規模跡地である秋葉原貨物駅跡地について、神田市場との一体開発を目指した構想を策定中であり、また飯田町機関区跡地につきましては、区、区議会と、旧国鉄との従前の経緯を尊重するよう、国及び関係機関に要請してきたところであります。  国鉄清算事業団用地については、清算事業団法等の法令において公園、道路等の公用、公共用地以外は地方公共団体といえども随意契約できない規定とされたことから、区議会におかれましても本年第一回定例会において地方公共団体を初め公共性、公益性を目的として設立された法人等に対して、随意契約による優先処分を求める意見書を運輸大臣あて提出されたところでございますし、区といたしましても同趣旨の要望をしたところでございます。さらに、先般区長会から処分に当たっては地元区と協議し、方針を決めるよう国に対し緊急要請したところでございます。  また、個々の用地につきましては清算事業団内部の事務手続、関係機関との協議にかなりの時間を要するものと考えられ、これらの動向に十分留意しながら、さらにはまちづくり協議会における御意見をも踏まえて、それぞれ適切な方策を図るべく検討してまいりたいと存じます。また、国の民活導入検討対象財産につきましては、この発表直後六十年一月十日にそれぞれ周辺の環境と調和のとれた住宅文化施設を中心とした活用を要望したことは御案内のとおりでございます。  次に、街づくり基金についての御質問でございますが、この街づくり基金は都市基盤の整備及び市街地再開発に関する事業等の財源を確保することを目的として設置したのは御案内のとおりでございます。具体的運用につきましては、改定基本計画に基づく具体的諸施策の実現と施策の方向が示されている事業を中心として活用することとなっております。  御指摘の用地取得につきましては、区の財政力ですべて対応することは全く困難でありますが、他の施策との整合性を図り、かつ他の適切な方策等総合的に勘案いたしまして、弾力的な運用をしてまいりたいと存じます。  次に、仮称国公有地検討会議設置についての御提案でございますが、現在助役を座長とする庁内の横断的組織であります人口対策まちづくり推進連絡会議が設置されており、この運営の中で御提案の趣旨が生かされていると考えますので、御理解、御了承賜りますようお願いいたします。    〔教育長古賀周作君登壇〕 24: ◯教育長(古賀周作君) 川島議員の御質問のうち、教育関係についてお答えいたします。  まず、学校、地域、家庭の連携についてでございますが、御指摘のとおり急激な時代の変化の中にあって、生きていく力を身につけることは、社会の国際化、情報化等の進展に対応することとともに重要なことと考えております。  教育委員会といたしましては、各学校が児童生徒一人一人の個性、能力等を十分に把握しながら、体験学習等も多く取り入れ、さまざまな事象や情報を正しく判断し、処理できるよう、主体的学習の方法や問題解決の能力を身につけさせる指導の充実を図っております。また、学校と家庭との連携につきましては、学校、家庭が一体となって、健やかな児童生徒を育てるための家庭教育のあり方を考えていただくために、現在家庭教育の手引きを作成中であり、十分な活用方を図りたいと考えております。  また、学校と地域との連携を深めるために、学校の教師、地域の父母、学区内の青少年健全育成に携わっておられる関係団体の代表の方々にお集まりをいただいている地域懇談会等の充実に努めております。さらに、社会教育につきましては、地域の方々と学校関係者の御協力を得て学校開放を進めているほか、地域の方々の御尽力により、各種の少年団体、野球、サッカー、剣道等のスポーツクラブの活動があり、その成果を上げているところでございます。  教育委員会といたしましてもさまざまな体験学習やスポーツ教室等各種青少年健全育成団体の御協力をいただき、これらの普及、充実を図っております。  今後も一人一人の児童生徒がたくましく生きる力を身につけるとともに、生涯学習の基礎を培うために、これら学校、家庭、地域の三者が有機的な連携、協力を一層深めてまいりたいと存じております。  次に、学校における学習指導の充実について文部省通知に対する対応についてでございますが、このような通知が出された背景としては、単に受験を目的とした学習塾のほか、学校の予習、復習等を主とした学習塾や家庭教師あるいは習字、そろばん等のおけいこごと、体育スポーツ関係等多様な学習活動に児童生徒が参加しているという実態がございます。  本区においても、約七割の児童生徒がこれらの各種の学校外教育活動に参加しているのが実態でございます。  このような実態を踏まえ、本区の学校では、従来から基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせるとともに、児童生徒個々の実態に応じたきめ細かな指導に努めてまいりました。また、児童生徒の学習の習熟の程度に応じて朝や放課後の補習指導、学習相談を行うなど多様な指導法を工夫し、いわゆる学習塾に頼らなくてもよい指導を行って、児童生徒や保護者からの信頼を受ける教育を目指しておるところでございます。
     御指摘の、課外教育活動につきましては、本区ではかねてから力を入れておりますが、今後ともよりよいあり方を工夫しながら、児童生徒の全人的成長を促すよう努力してまいりたいと存じております。  いずれにいたしましても、学習塾への参加が過剰な負担となり、児童生徒の健全な成長発達を阻害することのないよう、教育委員会といたしましては十分配慮していく所存でございます。  次に、学校給食についてお答えいたします。  今日の学校給食は、単に栄養の摂取にとどまるものではなく、好ましい人間関係をつくり、学校生活を豊かにするものとして教育的意義が高くなっており、その意味で楽しい給食の工夫、家庭、地域との連携が必要なことは御指摘のとおりでございます。  本区におきましても、各学校が魅力があり、教育上も意味のある給食とするためにさまざまな工夫をしているところでございます。学校行事や社会行事に合わせた給食、異なった学年、学級との交流等さまざまな給食を行っており、例えばファミリー給食、バイキング給食、敬老給食、幼稚園児招待給食などを実施しております。また、本年の区の献立目標の一つに食文化を考慮することを挙げて、郷土食等を取り入れることを進めております。  今後とも御質問の趣旨を踏まえ、学校生活に活気を与える魅力のある学校給食にするように努めてまいります。  次に、空き教室の活用につきましては、今までにも富士見小学校や錦華小学校でのランチルームへの転用や永田町小学校における帰国子女センターの設置あるいは特別教室への転用などそれぞれの学校の実情を踏まえ、より幅の広い教育活動が展開できるよう、有効な活用を図ってきたところでございます。もともと本区の学校は古い校舎が多く、児童生徒の触れ合う場やオープンスペースなどが少ない校舎であり、空き教室を利用し、これらに積極的に対応してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、今後とも学校現場の意見等を十分尊重しながら、より一層幅広い教育活動を目指した校舎の有効な活用を図ってまいりたいと存じます。何とぞよろしく御了承をお願いいたします。 25: ◯議長(吉成五郎君) 次に、日本社会党区議団を代表して、十八番中村つねお君。    〔中村つねお君登壇〕 26: ◯十八番(中村つねお君) 統一地方選挙の結果、売上税は廃案になり、とりあえず大型間接税の導入はストップされました。しかし、与野党の合意事項の中に直接税と間接税の比率見直しというものがありますから、完全な形で大型間接税導入の危険性がなくなったわけではありません。  特に、自民党が衆議院の税制改革協議会で所得税減税の財源の一つとして少額貯蓄非課税制度、いわゆるマル優制度の廃止を改めて提案していますので、合意事項が整理される見通しは暗く、それを理由にして売上税とそっくりな大型間接税が名称を変えて再び出てくることが考えられます。税制の抜本的見直しをしようというのではなく、廃案になったばかりの対決色の強い少額貯蓄非課税制度を廃止をいきなり持ち出してくること自体が不可思議であり、協議会がパンクすることをねらっているのではないかとも思われる節があります。  六月八日から海の都ベネチアで行われた第十三回目のサミットで、英国から指摘された、そして中曽根首相が約束した貯蓄に関する優遇税制の見直しは、何もマル優制度に限ったものではなく、株を初めとした所得体系全体の検討の中で考えるべきものだと思います。  このサミットで、中曽根首相は六兆円の内需拡大を約束し、そのうち一兆円が減税分であるとして、減税分をそっくり一般庶民に転嫁するというものも、社会保障制度や貯蓄の意味合いに対する諸外国と日本との違いを無視した乱暴な考え方だと言わざるを得ません。何しろ一千五百万円の貯蓄がなければ老後は生きていけないとされている日本でありますから、何とも厳しい話であります。  ところで、売上税が導入された場合、千代田区は相当減収となり、利子課税分によってそれが補われ、結局増収になるという試算が出されました。その点で言えば、売上税と利子課税の見直しは切り離せないものとしてありますけれども、しかし、マル優制度廃止のみが実施されたとしても、今度は自治体財政に何のメリットはなく、一般庶民の増税だけが残るということが考えられます。現在のところ、少額貯蓄の利子は紙幣価値の目減り分を多少肩がわりする、補てんする程度のものでしかありませんから、これに税金をかけるのは税の二重取りのような気がしてなりません。  今、政府がやるべきなのは、国民の使えるお金、可処分所得と地方自治体の財源を思い切ってふやし、経済活動を活発化させることだと思います。したがって、税制改革全体の検討をしないで少額貯蓄制度廃止のみが先行することについては、やはり納得がいきません。  そこで、まずお尋ねいたします。  区長は千代田区民の立場に立って考えた場合に、少額貯蓄制度廃止についてどのように考えておられるのか、そしてまた千代田区民にとって、どのような税制改革が望ましいと考えていらっしゃるのか、さらには売上税がとりあえず廃止となった今日時点で、売上税及びこれに類する大型間接税の導入について、評価を改めて示していただきたいと思います。  若干私たちを取り巻く情勢に触れながら次の質問に入ります。  なかなか生活を楽しむ間もなく、密度の濃い長時間労働で世界に類を見ない高度成長を遂げてきた私たちに待っていたのは、政府によって勝手につくられた国民一人当たり百二十万円、合計百四十五兆円の借金と円高不況にアメリカではエコノミックウォー、つまり経済戦争と言われる貿易摩擦であります。  国民生活の向上よりも輸出による利益を追求し、八六年度では一千億ドルもの貿易黒字を生み出している一方で、円高によって国民の財産を目減りさせている政府の経済政策の誤りによるつけが、今次第に私たちに回されようとしています。  御承知のように、今財テクブームの中で多くの国民と企業が俗に言う金融商品とのかかわり合いを深めています。このお金がどこにいっているかと言えば、大半がアメリカです。したがって、円に対してドルのレートが二分の一になれば、国民に戻ってくるお金はストレートに半分になってしまいます。ちなみに、昨年の春の段階で円高による日本国民の損失は十兆円にも上っております。あれから一年、さらに大きな金額が損しているということになります。ただ、直ちに現金化する人たちが大変少ないために表面化しませんけれども、もし日本国民が一斉に金融商品を現金化したら、あるいは貯金をおろしたら、わかりきったことでありますけれども、日本もアメリカも、経済がパニック状態になります。学者によってはこのままいくと、一九二九年の大恐慌が再来すると指摘する人もいます。つまり、日本経済の今日段階でのにぎわいは、社会的資産の蓄積の裏づけのない、大変不安定な構造だということになります。  六月十四日の日経新聞によれば、政府や企業、個人が海外で持っている資産から負債を差し引いた対外純資産残高は、前年度で千八百四億ドルの世界第一位になりました。そして、その内容は証券投資が三五%を占めています。これではお金が余っているというふうに言われても国民生活は豊かになるはずがありません。  もっとも、五月二十八日に電力会社九社の三月期決算が発表されましたが、利益は史上最高で、特に東京電力はすごく、円高と原油安とを合わせた差益は五十九年度に比べて六千五百三十二億円となっているように、他方で空前の利益を上げているところがあるから驚きます。しかも、来年一月から大口需要者には安く、小口消費者には負担をふやそうという動きが出ていることにおいては二重の驚きであります。  もちろん、私たちの国民の預貯金は国内でも使われています。特に、都心ではこのお金による不動産取引が活発です。そのため、最近では周辺区から周辺県まで不動産の値上がりがすさまじく、高い価格で土地家屋を売却した人たちも、結局それ以上に値上げ率の激しい買いかえ物件を手にする実例が出てきています。  高い物件を購入すれば、それだけ租税負担がふえますので、長い目で見た場合には、個人の不動産所得者がこれを処分するについても、地価の値上がりは必ずしもメリットがない状況が生まれてきていると思います。私のように不動産の非所有者は言うにも及ばず、購入はあきらめるしかありません。余り地価が高いので、景近では都心三区では土地を買ってオフィスビルを建てて賃貸してても、黒字になるのには二十八年から三十年近くかかり、望ましい償却期間の三倍も要するようになったとされていますので、このまま放置すれば、今後都心においては特殊な場合を除いて一般居住用マンション建設は後退し、全体的に事務所化傾向が強まっていくおそれもあります。  いろいろな場で紹介されていることですけれども、都心の事務所床の需要は現在の三倍と言われています。丸の内地区の事務所空き待機は四万八千件で、これを満たすのは単純に考えても六年間かかると言われておりますけれども、特に最近の傾向は外資系の申し込み者が多く、その占める割合は昨年度で六六%にもなっているデータがあります。  外資系企業の八〇%が東京に集中し、そのうち千代田区に二二%、中央区に一六%、港区三六%で、都心三区で東京全体の七四%をも占めているのであります。しかし、外資系企業は日本橋、兜町から日比谷、霞が関、そして渋谷の三角形の地域に進出を目指しており、これをゴールデン・トライアングルと呼ぶという説もあります。  いずれにしても、今さら鎖国でもしない限り、千代田区を初めとした都心への外資系企業の進出、国際化はますます進展していくでありましょうし、国内企業の本社機能も都心に集中してきていますから、経済活動の自然のなすがままにしておけば、千代田区民は極端に少なくなってしまうことは目に見えています。もはや机上の定住方策だけではどうにもならないというところにきているのです。  こうした都心の悩みが深刻化する中で、国土庁は第四次全国総合開発計画の最終試案をまとめ、国土審議会に提出しました。多極分散型国土づくりを基本目標に地方の基盤整備に比重を置きつつ、東京の国際金融、情報の中枢機能を重視するといった大変困った内容となっており、三全総の定住圏構想とは大分ニュアンスが異なってきていると思います。なぜ困るかと言えば、多極分散型を具体化する実行手段の裏づけがないばかりか、交通手段の整備によって地方に定住しながら働く人たちを都心に通わせるという発想ですから、都心の定住構想に逆行することにもなってきます。郵政省の東京マリネット計画、建設省の東京駅を取り壊して霞が関ビル八棟分のビルを建設する計画、運輸省の東京湾に国際物流ターミナル機能を持った人工島づくりなどいわゆるマンハッタン計画をも含め、国の諸計画と発想では千代田区にとって害はあってもプラスになるものが見当たりません。  大都市が郊外住居地を発展させるのは、全国、世界共通であるとしても、あれがだめならこれと、都市機能の位置づけがころころ変わる、だめならまたやり直せばいいという清算主義的な政治のあり方には本当に困ったものであります。山の手がそれに伴って動き回るのは東京だけではないでしょうか。  ここで具体的にお尋ねしたいのは、区長は今回の国土庁最終試案をどう評価されておられるのかということ、特に、千代田のまちづくりにとって、多分にマイナス要因となる危険性があると思うけれどもどうかということ、そして昨年の十二月の中間報告が明らかになったとき、各地方自治体等から東京集中型だと批判が出て、今回少なくとも言葉づらは是正され、最終試案が出された経過を見るときに、区長はこの試案に異議を申し立て、都心の定住方策をバックアップするよう働きかける必要があると思うけれども、どうお考えになっていらっしゃるかということであります。  続けてまちづくり、特に生活空間創出に関してお尋ねしたいと思います。  先ほど自民党の代表質問で、定住人口指標を現実的な五万人として、これを死守するために具体的な努力をすべきであるという旨の主張がなされました。  確かに五万人というのは意味のある数字です。どんどん在住区民が減少していくという量的な性格が、五万人を切ることによって質的変化をもたらします。自治権確保及び拡充という意味でも、また抽象的な対応ではなく、現実を直視した具体的な対応が求められるという点においても、当面五万人の在住区民を確保するということを明らかにすることは現実的な大きな意味があると思うわけであります。  では、そのためにどうするか、当たり前のことでありますけれども、まず現在の区民が区外へ転出することを最大限防ぐことです。地上げ問題を含めて、区民擁護のために行政が活発に動くことです。そして他方で新しい居住空間の創出に努めるしかありません。  住宅はプライベートなレベルでの社会資本であるにもかかわらず、東京は一度もそのことを本格的に取り組みをしてきませんでした。なかなか大変ですが、都心千代田区に適合した公共的住宅建設を初め、質の高い、別の言葉を使えば、その存在自体が価値と魅力のある生活空間を積極的につくり出す必要があります。たとえそれが民間の再開発であったとしても、居住、生活空間が担保できる可能性があるならば、大いに関与していくことが求められるはずであります。なぜなら、今のところ民間マンションは建設されているものの、先ほど述べた理由によってそれすら許されない状況が生まれてくるおそれがあるし、現在の高級マンションは地域社会とのコミュニティーが余りにも弱く、閉鎖的であります。当然行政とのかかわり合いもほとんどありません。諸外国と違って、自由広場や広い公園が少なく、ホームパーティーの慣習のない日本の都心ではその点を十分配慮しなければなりません。最も、人は住むけれども、住むのは今いる千代田区民ではないよというのでは困ります。まちづくりを推し進めたあげく、ごく特定の、選ばれた人たちだけのまちになってしまっては、何のためのまちづくりかわかりません。画一的な一本調子のまち並みはやがて私たちを退屈させますが、わい雑さをも包含した独自の個性と魅力が国際都市千代田区に備わっていて私はいいと思います。  現在の千代田区民ができるだけ多くこのまちに住み続けることができ、新しい都心のライフスタイルを持った人たちもこのまちで暮らす、それが当面、私たちの目指すパターンだと思いますが、これらの点について区長はどう考えておられるのか、このことを踏まえて項目的にお尋ねしたいと思います。  まず、千代田区に適合した公共的住宅というものをどう考えていらっしゃるか、二つ目として、居住、生活空間創出のために民間の再開発にどう関与していくのか、そして三つ目、現在の千代田区民が住み続けられ、新しい都心生活者を迎え受ける条件をどうつくっていかれようとしているのかということであります。  最後に、米の輸入自由化について質問をさせていただきます。  日本の農業は金がかかり過ぎて国民の負担が大きい、こんな非生産的なものは切り捨てアメリカから輸入すれば日本国民も助かるし、アメリカも喜ぶという主張が最近目立ってきています。  国際分業という立場から見ると、いかにもこの主張は正論のように見えます。もし米が自由化された場合にどうなるか、千葉大学教授が推計し、公表しているものによりますと、段階的に自由化し、一九九〇年に完全な形で自由化がされたとします。この場合、まず日本は世界最大の米輸入国となり、二〇〇〇年には世界で輸出される米の四〇%を日本が輸入することになるとされています。そしてその結果、世界の米相場が急上昇し、価格は現在の約三・五倍になるだろう、これでは現在の米の値段よりもわずか一割しか安くならないということです、そして現在一〇〇%の米自給率が二〇〇〇年には三〇%に落ち込みます。そしてさらに現在の四百三十七万戸の農家のうち、二百万戸が離農、いわゆる農業をやめなくてはならなくなってきます。  以上の推計に基づけば、私たちは二つの大きな問題に直面します。離農する農家は一体どうなるかということと、もし石油ショックのように米ショックが起こった場合にどうなるかということの二つです。  日本の農業は減反に減反を重ね今日にきていますが、ここで米が自由化されれば失業者を増大させ、経済活動の大きなマイナスになります。わずか十年もたつかたたないかの期間に二百万戸が離農すると推計されているのにもかかわらず、それへの対策もなく、米の自由化を図ることは産業構造に急激な変化と失業率を高め、地方の経済活動のみならず、都心生活者へも大きなデメリットをもたらすと考えます。  日本の産業構造は余りにも第三次産業に偏り過ぎています。  第一次産業の切り捨て政策をやめ、健全な経済活動の保障をすることこそ今の政府に求められている方策だろうと思います。  日本の米輸入制限はアメリカの農業を圧迫しているなどと勝手なことを言う人がいますが、アメリカの米生産者はわずか一万六千戸にすぎないのに比べて、四百三十七万戸の国民が働いている日本とは事情が全く違うことを無視した乱暴な話です。私は決して民族主義ではありませんけれども、アメリカの一万六千戸の農家のために日本の二百万戸の農家をつぶし、七百万人の人々を短期間で他の産業に吸収することは、だれが考えても不可能なことだと思います。そして、何よりも米の自給体制が崩れることは大きなリスクを負うことを忘れてはなりません。  日本の全食糧の自給率は現在三〇%ですが、米だけは一〇〇%の完全自給体制が確保されています。この主食である米の自給体制が崩壊することは、日本国民の生命をアメリカを初めとした諸外国に預けるということになります。もし、国際紛争などの関係で米の輸入が思いどおりにいかなかったらどうなるのか、また外国の米生産地では干ばつなどによって凶作が起きたらどうするのか、何しろ天候など自然現象に左右されるものですから、アフリカのようにならないという保障はありません。さらに、世界の食糧の流通を握っているのはわずか五社のメジャーという中で、価格についても彼らに左右され、なすがままということにもなりかねません。主食を抑えられている以上、国際関係の発言力に対しても影響が出てきます。大企業や輸入業者の投機の対象にされるということも考えられます。加えて言えば、日本国民の口に合った米の供給も不可能ですし、臭素米問題や保存薬問題に見られるように安全性ということも重要な課題です。  外国文化と交わる機会がふえ、私たちの消費活動の中に外国製品がすっぽりとはまっている今日、せめて食文化の基本、主食の自給体制だけは維持すべきであると私は考えます。  このようなことを考えたときに、米の自由化は農村だけではなく、都市生活者にも千代田区民にもはかり知れない悪影響を与えることが明らかであります。  そこで、具体的にお尋ねします。  千代田区民の生活と安全を守る責任のある区長は、米の自由化及び食糧の確保のあり方についてどう考えておられるのか、千代田区民を初め都心生活者に悪い影響を与えることが明確な米の輸入自由化をストップさせるために何らかの行動を起こすべきであると思うけれどもどうかということであります。  以上、この場での代表質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔区長加藤清政君登壇〕 27: ◯区長(加藤清政君) 中村つねお議員のマル優制度廃止及び大型間接税についてお答えいたします。  第百八通常国会に提案されておりました売上税法案及びマル優、郵便貯金の非課税制度廃止を含む税制改革法案は廃案となった次第でございます。しかしながら、税制度の抜本的改革は現在における我が国の最重要課題であることについては、国民がひとしく認識するところであり、衆議院に与野党協議機関が設置され、現在協議が進められております。私といたしましては、十分な審議を経て我が国の長期的な将来展望に立った公平かつ適正な税制度が確立されるべきものと考えます。  なお、マル優制度及び直間比率見直しにつきましても、この協議機関の審議内容の一環となっている模様でございますが、今日に至る経緯を踏まえ、国民の総意に基づいた適切な措置がなされるべきものであると考えます。  次に、四全総についてお答えいたします。  今回の四全総につきましては、東京圏への諸機能の過度な集中を抑制し、良好な居住環境を確保、向上していくため、一極集中の是正を進めるとともに、多極分散型国土づくりをその基本目標にしております。また、特に東京都区部につきましては、諸機能の過度の集中を避けながら、良好な環境の保全、形成に配慮しつつ、国際金融、情報機関等の展開にも対応するものとしております。  このような考え方は、昨年の経過報告発表後、まちづくりの視点から要望をいたしたところですが、主な要望事項といたしましては、まず地価高騰に対する抑制策について、次に、国公有地の公益性等を踏まえた有効活用について、さらに地域からの発想と人間性の尊重という三点につきまして申し述べた本区の意見とも基本的には整合しているものであり、区におきましても適切なものと理解しております。  土地利用の適正化や地価対策も含めた四全総の考え方がこの方向に沿って取りまとめられ、総合的に実現されるよう考えております。  次に、区民の方々が住み続けることができる生活空間の創出についての御質問でございますが、今、千代田区に安全で快適な生活居住環境が必要であることにつきましては全く御趣旨のとおりでございます。  都心にふさわしい生活空間とよりよい居住環境づくり、そして良質な住宅を供給し、定住を確保していくことは、区政の基本目標である活気と安らぎのある調和のとれたまちを実現していく上での緊急課題であります。  都心の特性である商住一体、職住近接という長所を積極的に生かし、地域に育ち、生活してきた方々、また都心機能を支える方々がともに住み続けることができるまちづくりに全力を傾注してまいりたいと考えております。  現在、街づくり協議会において新しい千代田区のまちづくりについて活発な論議が展開されており、貴重な御意見、御提案がなされております。  これらの御意見を踏まえ、街づくり方針を策定し、区民の方々の総意のもとに、人の住むまち、住めるまちの実現に向けて積極的に施策を進めてまいる所存でございますので、よろしく御了承のほどお願い申し上げます。  なお、詳細、その他の事項につきましては関係理事者をもって答弁いたさせますので、御了承お願いいたします。    〔区民部長加藤忠君登壇〕 28: ◯区民部長(加藤忠君) 中村つねお議員の米の輸入自由化についてお答え申し上げます。  御案内のとおり、米は国民の主食であり、我が国農業の基幹農産物でもあります。そのため、食糧管理法によって国が全量を管理をしており、また輸出入につきましても国が規制をいたしております。  一方、我が国の貿易制度上は、米はガットで認められた自由化免責物資であると考えられています。しかしながら、最近の国際情勢を見ますと、アメリカ側の農産物市場開放の要求、米の内外の価格差批判等日米の貿易摩擦、さらに国内的には食糧管理制度のあり方等日本の農業全般にかかわる問題ともなっております。確かに、国民の主食である米を輸入に依存することは、国際的政情不安や、また異常気象の発生等の有事の際の供給不安、さらには輸送上の防腐、防虫等の薬剤使用や残留農薬の問題等の安全性の不安等の懸念がないとは言えません。また、この二十年間に五〇%も低下したと言われる食糧の自給率の低下の問題と相まって、主要食糧を外国産品に依存するか否か、これは国政レベルの大きな課題であると考えられます。しかしながら、現在のところ、この米の輸入自由化についての明確な政府見解は出されておりません。  したがいまして、重大な関心を持ちながらも、今後の推移を見守らざるを得ない現状にありますので、何とぞ御了承を賜りたいと存じます。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 29: ◯都市整備部長(望月章司君) ただいまの中村議員の御質問のうち、都市整備に関する部分について、区長答弁を補足してお答え申し上げます。  まず、千代田区に適合した公共住宅についての御質問でございますが、夜間人口の減少を防止し、定住性を確保していくために、公共住宅の供給促進は本区の人口まちづくり対策を進めていく上で重要な課題であると強く認識しております。この公共住宅供給促進のためには、用地の確保が必要でございますが、近年の業務地化と地価が急騰する中で、適地に建設用地を確保していくことが極めて困難な状況になっております。しかし、国公有地の確保のほか、区有地の活用についても、現在あらゆる可能性を探り、検討を進めているところでございます。また、公営住宅の建設に係る現行国庫補助金制度は、建築費の二分の一のみで建設用地の取得費は対象外となっているため、建設を促進していく上での大きな障害となっております。  そこで、建設用地の取得費に対し、国庫補助金制度の導入等につきましても国等関係機関に強く要請しているところでございます。また、区立区営住宅の建設への努力はもちろんのこと、都営住宅並びに公社、公団住宅の誘致につきましても、本区の実情や人口まちづくり対策への取り組み等を関係機関に十分伝え、理解と協力を願っているところでもございます。この中で、現在、さきにも区長が述べましたが、都営住宅につきましては東京都における都営飯田町アパート建てかえに当たって、周辺の環境の改善と合わせ、より住戸数の増加を図る方向で国、東京都とともに取り組み、都心で初めての大規模高層住宅の建設計画を進めているところでもございます。  また、都心の特性を踏まえ、所得年齢各層、そして公共空間の確保などを考慮し、かつ多様なライフステージに対応した新しい視点からの都心型公共住宅の開発と供給につきましても現在鋭意調査研究を進めているところであり、その具体化に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。  次に、居住生活空間の創出と民間再開発に関してでございます。まず積極的にまちに出かけ、誘導に当たるとともにコンサルタントの制度を活用し、生活空間の創出については最大の努力を図ってまいりたいと考えております。また、再開発の際には市街地住宅総合設計、特定街区地区計画や優良再開発建築物整備促進事業、市街地再開発事業などの現行諸制度の有機的かつ効果的な運用を図ってまいりたいと考えます。  次に、民間再開発事業については、絶好のまちづくりの機会と認識しております。民間再開発事業の多くは、住民ないし企業が主体的に行うことが通例とされておりますが、居住環境の改善、職住近接を図るための良好な住宅の確保、地域の発展に適合する業務施設の配置、さらに国際都市にふさわしい都市景観の創出など区の果たすべき行政課題を大きく内包している事業も多々あるところでございます。  したがいまして、この再開発事業を計画的な再開発へと誘導していくことは極めて重要なことであり、区の役割もこの点にあると存じます。  本区といたしましては、街づくり方針の策定途上にありますが、この過程で住民、企業、行政による三位一体によるまちづくりを標榜し、この三者による共同を打ち出しているところでもあります。  私どもといたしましては、この基本的考えに沿って民間による再開発事業に可能な限り関与し、本区の基本目標である活気と安らぎのある調和のとれたまちの実現にむけて積極的に指導ないし誘導に努力してまいりたいと考えております。このためにも区といたしましては区の方針を初め、さらに再開発に関する諸制度の仕組みの周知や共同化に対する意識の啓蒙などに努め、地域を構成するすべての人とともによりよい生活空間の創出と居住環境の改善、さらには良好な都市景観の創出など一層の努力をしてまいりたいと考えておりますので、よろしく御了承のほどお願い申し上げます。 30: ◯十八番(中村つねお君) 今、答弁いただいたことで関連するんですが、項目的に言うと、私の質問は項目的に分けて質問していますからね。まちづくりの関係では、いま一つ、区長の答弁では関係していたのがあったわけなんですけれども、基本的には現在の区民が住み続けることが基本であります。しかし、それだけでは大変現実は厳しいわけでという現状をまず守りながら、なおかつ新しい住民を受け入れる条件をつくっていくことが必要ではないか、その点についてどうなのかということをお聞きして、考え方としては、区長は今の現在の区民が住み続けられるということが基本なんだと、そのためにどうするんだという、こういう話をさらに私の方は質問させていただいているわけですね、それについては御答弁を、条件づくりという点ではどうなのかということではいただいていないわけですね。  それから、あえて私、質問の中で、公共的住宅というふうに言わせていただいたんですが、都市整備部長の答弁の中で、それを一応分けて答弁をいただいているわけですけれども、千代田区の場合、従来の区営住宅、これがひとつ継続して必要だろうというふうに思いますけれども、それだけではなくて、やはり現在の公営住宅に比べても一定の家賃というのは、たとえ高くなったとしても、今の区民でも収入制限がありますから、それで相当高い住宅費を払わなくちゃならん、ざっくばらんに言ってしまえば、あの条件でよくあの家賃が払えるなというような状況で、実態と合ってない基準があるわけですね。公営住宅法、そういうことを見るならば、本来ここで若い世帯が結婚をして暮らしたいけれども出ていかざるを得ない、でも、公営住宅に入るには基準から外れている、こういう人たちが随分いるわけですね。そういう人たちを含めた二代目、三代目の人たちがここで引き続き生活できるような、一定の家賃の額は上がったとしても、そういう人たちが住んでいけるような公共的な住宅というものを検討する必要があるんではなかろうか。これはいろいろ法律の壁があるとは思いますけど、場合によっては民間の再開発に関与しながら、その辺のかかわり合いというものを持っていくことも一つ考えられるんではないかということなんです。公共住宅がありながら、一方では、いわゆる都心千代田に合った適度な価格、適度な広さ、適当な条件の個性的な住宅づくりというものを考えてもいいんではなかろうかというふうに思うんです。そもそも大体公共住宅というふうに言うと、全部同じような住宅ができていくわけですよね、基準がありますから、それに沿ったものということになりますと、非常に個性がない、箱だけつくればいいというものじゃないわけですから、やはりそういう意味では全部同じ顔をしているんじゃなくて、それぞれの住宅の一つとっても個性を持っていく、そのまちの雰囲気に合ったものをつくっていくということにも必要なんではなかろうかという主張なわけですけれども、この点についてはさらにお聞きをしたいということで再質問いたします。  それから、米の問題というと皆さんお笑いになるんですけれども、米の問題には、都心に生活しているから関係ないよというふうに発想されるかもしれませんが、つい最近でも東京都議会を含めて政府機関に要望書を出しているわけですね、これは米の問題は農村の問題、都心の問題だよというのが根本に流れているわけですけれども、ただいまの区民部長の答弁、最後まで非常にごもっともだということで、すっきり聞いていたんですが、最後になりますと、「見守って」と、どうしていつも千代田区の答弁というのはそうなっちゃうのかなというふうに思うんです。それだけはっきりしているんだから、都議会も、これは議会側ですけれども、要望書を出しているという経過がありますし、衆議院でも参議院でもこの問題については決議している。しかし、政府そのものがはっきりしないという段階で、やはり都心の千代田区としてく区民生活を、安全を守るという立場から物を申してもいいんではなかろうか、どうして最後になるとその辺があいまいになっちゃうのかなという感じがしますので、その点についてはもう一度御答弁をいただけないかということであります。    〔区民部長加藤忠君登壇〕 31: ◯区民部長(加藤忠君) アメリカの市場開放要求をきっかけとします今回の輸入自由化の問題につきましては、まだ両国の交渉が軌道に乗っておりません。二国間交渉あるいは新多角的貿易交渉ということで、交渉の仕方を今打診をしている段階でございます。しかし、そういう意味合いにおきまして、この問題はちょっと置きまして、基本的には国内における食管制度の問題であるというふうに理解をしております。  いずれにしましても、この食管制度は長年の手直しでいろいろと矛盾点を持っておると言われております。食管制度の単なる運営改善だけでは根本的には解決にならないというようなことで、農林水産省でも中長期的、これは五、六年かけてというようなお考えのようでございますけども、制度の根本的な見直しをしていく方針と言われておりますが、一方行革審とか、あるいは財政当局はそんな時間がかかり過ぎてはというようなことで、この両者の意見調整が政府部内でも調整が求められておりますけれども、まだそういう段階だということでございます。  したがいまして、私どもの立場でも現在の食管制度が非常に複雑でわかりにくい、特に流通面でそういうことが言えると思うんです。したがいまして、私どもの希望としては、消費者にとっても、あるいは生産者にとってもわかりやすい制度にしてほしい、またその間において、この消費者、生産者の利益もある程度守られていく方向でというようなことが肝要ではないかと考えます。  以上のような状況でございますが、先ほど申し上げましたようなことで、米の自由化については推移を見守りたいという趣旨でございます。    〔都市整備部長望月章司君登壇〕 32: ◯都市整備部長(望月章司君) ただいまの中村議員の再質問にお答え申し上げます。  御質問は、都心機能を支える新しい需要層に対する公共住宅をどうするか、それから、ライフステージに適応した住宅の確保をどうしていくのか、あるいは三点目には、区営住宅に入居ができない制約条件にある区民のための公共住宅をどう確保していくかという御質問かと存じます。  御指摘のとおり、これらの方々の公共住宅の確保ということにつきましては、区にとっては大変大きな問題でございますし、重要な問題と認識しております。幸い街づくり方針に関する答申においては、これからの千代田区における公共住宅のあり方については都市型住宅と申しますか、あるいは都心型公共住宅を十分研究する必要があるという御指摘をちょうだいしてございます。  したがいまして、私どもも今後その方向に沿いまして十分研究するとともに、この都心型公共住宅のありようも、あるいはこれをどのような形で普及させていくかということについて十分考えたいと存じております。  いずれにいたしましても、都心型公共住宅これが今後千代田区が目指すべき御質問の内容に適合する内容じゃないかというふうに深く認識しておりますので、この点の研究については十分鋭意検討してまいりたいと考えております。 33: ◯議長(吉成五郎君) 以上で各会派の代表質問を終わります。  お諮りいたします。本日はこの程度をもって延会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 34: ◯議長(吉成五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。
     継続会は六月十八日午後一時より開会いたします。ただいまご出席の方には文書をもって御通知いたしませんからさよう御了承願います。  本日はこれをもって延会いたします。    午後五時三十四分散会      会議録署名員        議 長  吉 成 五 郎        議 員  大 宮 正 義        議 員  城 井 健 介 発言が指定されていません。 Copyright © Chiyoda City, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...